落語家の方が似合っている政治家と政治家をやるべき落語家のこと

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沖縄県民が苦しむ基地問題は、なかなか国民全体の関心事とならないのが現実です。憤懣やるかたない思いを抱え、10月19日に新宿での街頭宣伝に加わったのは評論家の佐高信さん。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では、「沖縄問題はしょせん政治家も国民もひとごと」と語った落語家の立川志らく師匠の基地問題に関する数々の発言を紹介。志らく師匠に政治家になるべきと勧めた糸数慶子元参議院議員の言葉と、麻生太郎氏には落語家になったほうがいいと話した民主党議員の言葉を並べています。

普天間基地は那須の御用邸に

10月19日、新宿駅南口前で沖縄を見捨てるなと訴え続けている山城博治と共に街頭宣伝をした。他に福島みずほと辛淑玉がアピールしたが、沖縄返還の際の首相、佐藤栄作の名前を子どもにつけている沖縄県民が少なくないという辛の話に愕然とした。

ノーベル平和賞をもらった佐藤がまったくそれに価しない人間であるとことは明らかだろう。しかし、沖縄県民は“本土復帰”に望みを託したのである。それを政府は何度も何度も裏切った。

立川談志の弟子の志らくという落語家がいる。ある時、彼は「平和憲法と沖縄の基地問題」というトークショーに沖縄選出の国会議員、糸数慶子と一緒に呼ばれ、普天間の基地問題について語った。

「普天間の移設の件ですが、国外が無理、国内でもどこもいやだとなるとどうにもならない。私はこれだけ広い日本なのだから、どこかあるはずだと日本地図を広げて探しました。普天間の基地は東京ドーム103個分の広さ。ありました。ぴったりの場所が。那須の御用邸。あそこは東京ドーム140個分の広さがある。すっぽりはまるんです。東京ドームが37個残れば陛下が散歩するぐらいの広さは残るし。陛下ににらみを利かせていただきましょう。米軍よ馬鹿なまねはするなとね」

『志らくの言いたい放題』(PHP文庫)によれば、これには爆笑が起こったという。それで志らくは続けた。
「沖縄問題はしょせん、政治家も国民もひとごとなんですよ。沖縄の痛みなんかだれもわかっちゃいない。この沖縄問題をよい方向に持っていくには、沖縄出身の政治家が総理大臣になればいいんだ。それを実現させようではないか」

さらに盛り上がったところで、糸数が口をはさんだ。
「志らくさん、知っていますか。米軍の兵隊が夏休みをとって国に帰っている間、基地に人がいなくなっても食べ物やなんかを腐らせてはいけないという理由で、冷房かけっぱなしなんです。その費用はわれわれの血税から出ているんですよ」

それを聞いて腹が立った志らくは叫んだ。
「じゃあ、沖縄の電力会社に頼んで、電気をきっちまえ!」

私は松元ヒロとの2人会で志らくに会ったが、こんな志らくに糸数がすすめた。

「志らくさん、あなたのような勇気ある方が政治家になるべきです。次の選挙で立候補して」

それを志らくは、「いやいや、私が政治家になったらフランスの大統領と区別がつかなくなるからやめときます」とわけのわからない逃げ口上でかわした。

民主党のある議員がこんなことを言ったという。「小泉(純一郎)さんは芸能を己のパフォーマンスに利用する人、麻生(太郎)さんは落語家になったほうがいいような人」。

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