楽天ポイント付与上限引き下げへ。ヘビーユーザー離れは防げるのか?

Osaka,Japan - August 6,2021:Rakuten logo. Rakuten Mobile is a mobile communication service brand provided by Rakuten Mobile, Inc.Osaka,Japan - August 6,2021:Rakuten logo. Rakuten Mobile is a mobile communication service brand provided by Rakuten Mobile, Inc.
 

楽天グループは、12月1日から楽天ポイントの付与上限を見直すと発表。上限ポイントが大幅に引き下げられる決定に、SNSではちょっとした騒ぎになっています。今回の改定でユーザーにはどのような影響があるのでしょうか。メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』著者で、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは、「改悪」になる人はそれほど多くないと解説。楽天プレミアムカードを使い、楽天経済圏での消費額が大きいヘビーユーザーには「改悪」でも、そうした人が別のサービスに丸ごと移動するのは容易ではなく、楽天モバイルユーザーを増やす戦略としては間違っていないと分析しています。

楽天グループ「SPU」が「モバイルユーザー」優遇にシフト──ポイント付与上限見直しで、ヘビーユーザーはどこへいく?

楽天グループは12月1日よりSPU(スーパーポイントアッププログラム)を改定すると発表した。詳細は割愛するが、ぶっちゃけて言えば、ヘビーユーザーへの優遇を見直し、楽天モバイルを契約していれば、ライトユーザーでも毎日、多くのポイントをもらえるようになるというものだ。

楽天銀行や楽天カードなどを組み合わせ、毎月、かなりの金額を楽天市場で購入してポイントを上限いっぱいまで貯めていた人には「改悪」になるかもしれないが、楽天モバイルを契約している人であれば幅広く貯めやすくなったという改定と言えそうだ。

楽天プレミアムカードでも海外のラウンジが使える「プライオリティ・パス」が使い放題だったのが、2025年以降は「年間5回まで」という制限がついてしまった。プライオリティ・パスを安価に所有したいがために楽天プレミアムカードを契約している人も多いだろう。そんな中での「5回しか使えないのか」と改定に一瞬、落胆したが、そもそもプライオリティ・パスは自分の場合、年間1~2回程度しか出番がない。

海外出張にいく機会は多いが、ほとんどがANAがメインでスターアライアンスのラウンジを使っており、たまに「スターアライアンスじゃない航空会社に乗る時にお世話になる」程度だったりするのだ。海外に出張で頻繁にいく人であれば、どこかのアライアンスの会員になっているだろうから、ほとんどが「年間5回」で事足りるのではないか。

一方でLCCを使って海外旅行している場合、乗り継ぎをすれば1回の旅で4回、ラウンジを使うこともある。そうしたユーザーからすれば今回の改悪によって、別のクレジットカードに乗り換えるということも検討するかもしれない。

ただ、今回、「楽天経済圏は改悪ばかりだ」とネットで炎上しているものの、だからといって、他の経済圏に丸ごと移れるかといえば結構、微妙だ。これまでどっぷりと楽天経済圏に浸ってきた人こそ、そう簡単に他の経済圏に移行するのは困難なのではないか。その点においては、すでにそうしたユーザーは囲われた状態であるし、多少、改悪されても楽天を使い続けてくれる優良顧客のような気がしてならない。

実際、今回の改定で影響を受けるのはごく一部のようで8割以上のユーザーがポイントの付与が変わらないか、増えると楽天では説明する。

そもそも、これまでの上限設定が高めであったため、上限に達するまで使い倒しているという人はかなり限られているのではないか。それであれば、逆に乗り換えしやすい楽天モバイル側を中心に、他の経済圏からユーザーを引っ張ってくるという戦略もあながち間違っていないのかも知れない。

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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