「青春を返せ裁判」での驚愕証言。オウムと変わらない“統一教会の危険度”

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1980年代後半から2000年代前半にかけて、統一教会の元信者が強引な勧誘や教化行為によって信教の自由を侵されたなどとして、相次いで教団を提訴した一連の裁判は「青春を返せ裁判」と呼ばれました。その裁判記録をまとめた書籍『青春を奪った統一協会』を紹介するのは、メルマガ『佐高信の筆刀両断』著者で評論家の佐高信さん。「教祖に命令されれば人殺しもやったと思う」などの衝撃的な証言を引き、オウム真理教とまったく変わらないと旧統一教会を断罪。信者が内部に入り込んでいる自民党への厳しい言葉も付け加えています。

青春を返せ裁判

2000年に『週刊宝石』(光文社)で青春を返せ裁判(東京)原告団、弁護団編著『青春を奪った統一協会』(緑風出版)の書評をしたことがある。

そのころ私は東京工大新入生歓迎会で続けて4、5年講演をしていた。あなた方は受験戦争の勝者かもしれないが、ということは、一番批判力をなくしていることだと強調して、新入生より多い感じの親に苦い顔をされていた。

何よりも疑うことからスタートせよ、と力説したのは、入口でもらった『工業大学新聞』に「原理研に御注意!!」と書いてあったからでもある。原理研は正式名称を「全国大学連合原理研究会」といい、統一協会の下部組織で、毎年、新入生が入って来る時になると、勧誘活動が活発になる。とりわけ東大、東工大、早稲田等で盛んだった。

大学内における原理研のメンバー獲得の典型的な手口は、アンケートを口実に住所、氏名、電話番号などを聞き出し、原理とは名乗らずに「ビデオセンター」に誘い込み、さらに修練会に参加させる。当時はオウム真理教の蔭に隠れた感じになっていたが、オウム信者と同じく、スナオでマジメな学生こそが吸い込まれていく。

この本は、それと闘った人たちの裁判記録で、その裁判は「青春を返せ裁判」と名づけられた。

神体験で文鮮明のロボットになった人たちは、たとえば「人を殺せ」という指示があったらどうするのかと尋ねられると、こう答える。「文鮮明の指示だから、地上天国実現のためとか、原理的な意義とか位置づけをされたら、自分も葛藤はあったとしても、それを押し殺してやっていたと思います」

文鮮明はメシヤなのだから、人を殺せと言うはずはないと思わないかとの問いには、「むしろ、地上天国実現のためであるならば、それに反対する者は、イコール、サタンですから、そういうことはあり得るんじゃないかと思います」という答が返ってきて、その指示で殺されるサタンの人の立場はどうなるのかと突っ込むと、「結局、地上天国実現のために、メシヤの行く手を阻むようなことであったならば、生きているよりも、霊界に送り届けたほうがその人の救いになるというような教えですから」と、唖然とする信仰理論になる。

つまり、オウム真理教とまったく変わらないのである。「ポアせよ」と命じた麻原彰晃はすなわち文鮮明だと言っても過言でない。

この統一協会と自民党は一体化している。平野貞夫は「統一協会と一緒に自民党を解散させろ」と叫んでいたが、自民党の外に統一協会があるのではない。秘書が入り込んだり、議員が信者だったりしていることから見ても、自民党の中、つまり内部に統一協会があるのである。平野の言うように、自民党を解散させなければ統一教会も解散させられないかもしれない。

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image by: Sun Myung Moon, CC BY-SA 4.0, ウィキメディア・コモンズ経由で

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