なぜ、韓国の若者は結婚後に夢を持つことができないのか?

 

ヤン某(29)さんにとって先月は厳しかった。来年1月、6年間付き合ってきた彼氏との結婚を控え、破婚を選択したためだ。ヤンさんは初等学校の時、両親が離婚して相対的に難しい時代を送った。厳しい環境の中でも職場を持ち、不平不満を言わずに過ごした。

しかし、結婚を控えた状況で剥奪感は現実に近づいてきた。貧しい暮らしからもなんとか切り詰めて母親は結婚費用に使いなさいとして500万ウォンを渡してくれた。2歳年上の兄はさらに200万ウォンを加えてくれた。娘であり妹が結婚するわけなので快くお金を渡してくれたことに感謝しなければならなかったが、ヤンさんはそうではなく苦しんだ。

夫となる人の実家がそれほど裕福な家庭でもなかったため「負担を感じなくていいよ」と言ってくれるのだが、ヤンさんの心は落ち着かなかった。結局、予備夫となる人との合意の末、破婚を選択することになった。

彼女は「ある人は家一軒を買ってもらう人もいるし、ある人はマンションでなくても伝貰(チョンセ=韓国独特の家を借りるスタイル。以前にも何回か出てきている単語なのでくわしい解説はここでは控える)資金でも受け取るという話を聞く度に剥奪感を感じるのは仕方がないとして「結婚が新しい出発という話は昔話に過ぎない」と吐露した。

経済状況が良くないほど未婚の割合が上がるという事実は統計でも明らかになる。

韓国銀行(韓銀)経済研究院が2020年、韓国労働パネル調査資料を独自分析した結果、男性の所得(税引き後の総年間勤労所得)が低いほど未婚率が明確に高くなる傾向があることが分かった。

具体的に30代男性の所得が上位20%に入れば未婚者は5人に1人の割合(21.5%)だったが、所得階層が下がるほど未婚率は着実に高くなり所得下位20%に該当する30代男性は未婚率が77.2%で4~5人に1人だけが家庭を築いたことが分かった。

反面、所得上位20%の男性は5人に4人の割合で結婚している。今後、このような傾向はさらに強まる見通しだ。青年たちは大多数が韓国社会の不平等がさらに深刻になると考えているためだ。昨年末、全国20~39歳の青年2000人を対象に行ったオンラインアンケートで回答者の87.4%が今後10年間、韓国社会の不平等がより一層深刻になると見通した。

中小企業の会社員5年目のユ某さん(31)は「結婚のためのマイホーム購入も難しい状況で展望さえ明るくないのに、何のために結婚するのか」とし「家族の支援がなければ夫婦一緒に稼いでも厳しい結婚生活が続くだろうことが結婚後にもあまりにも多い」とため息をついた。

日本もそうだが、韓国もそれに負けず劣らず結婚していない青年(男女、20代~40代)が筆者の周りにもごろごろといる。勿論結婚だけが唯一の人生ではないけれど、ヒトとして生まれてヒトとして死んでゆくと考えるとやはり結婚することはできれば実現してほしい(当人らは実現したい)テーマであることには間違いない。青年らにはがんばってほしいところだ。(news1参照)

image by: Shuterstock.com

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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