なぜ、船を使わなければ行けない秘境の「和食海鮮料理屋」に人は足を運ぶのか?

View for sea over the Mountain in Saga prefecture, JAPAN.
 

佐賀県にある半島の突端に、とある飲食店が建っています。

前は海、後は森林。

このお店に行くには、険しい山の中を登山のごとく歩くか、近くの港から船を使うしか方法はありません。

世間から隔絶されたこんな場所に、なぜ飲食店があるのでしょうか。

それは、店主夫妻の自宅だからです。
自宅で商売を始めた。
ただ、それだけ。

こんな秘境にお客さまは来てくれるのだろうか、という不安はあったものの、美味しく新鮮な魚を提供すれば、必ず来てくれると信じていました。

しかし、現実は……。

お客さまの来ない日が何カ月も続きました。

ところが、ある日やって来たお客さまによって、繁盛店へと変貌したのです。

フレンチの鉄人と呼ばれた有名シェフが、このお店の海鮮料理を食べて、大絶賛したのです。

このことがSNSなどで拡散し、一気にお客さまが訪れるようになったのです。

漁師でもある店主が獲る魚や仕入れて来た魚介は、お店の前にある海の生簀に保存され、生きた状態から調理するので、新鮮そのもの。

お造りや煮魚、焼き魚、揚げもの、酢の物、茶碗蒸し、握り寿司など、コースで提供されます。

魚介の種類は、マグロ、カサゴ、アラカブ、ヒラスズキ、アワビ、サザエ、タコなど、季節の魚が調理されます。

醤油、柚子胡椒、ポン酢なども、全部自家製というこだわりよう。

2019年には、ミシュランにも掲載されています。

味は保証されている上、料理の一品一品も量が多く、お客さまは大満足です。

また、店主のおもてなしが、お客さまを喜ばせています。

料理を運んで来ると、テーブルに並べるだけではなく、必ず話し掛けるようにしています。

冗談を交えながら、面白おかしく。

料理は美味しく、店主の人柄も良いことが、人気の秘密なのです。

しかも、行くためには船に乗らなければならないという特別感が、旅の気分を演出してくれます。

フランス、エジプト、イタリア、メキシコ、オーストラリアなど、外国人もたくさんやって来ています。

料理、店主、演出、PR。

秘境にありながら、お店が繁盛する要素をすべて備えているのです。

立地によるハンデは、一切感じさせません。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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