松本人志「女衒指示書」問題でNHK『チコちゃん』存続危機…性交拒否の女性に“冷凍鶏肉”投げつけた木村祐一への批判は「強いものイジメ」なのか?キム兄の声がTVから消える日

2024.01.18
by kousei_saho
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弊サイトでも既報の通り、松本人志(60)が17日にみたび文春砲を被弾。その内容は、松本が手書きで好みの女性のタイプを事細かに記し“女衒芸人”に渡したとされる「女性セレクト指示書」の画像と、「性の宴」に呼び出された女性撮影のホテル室内写真、さらに元タレント女性が19歳時に受けた「性被害未遂」を巡る証言が掲載されるという衝撃的なものだった。

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次々と飛び出す新証言や証拠画像。性加害疑惑の発覚当初は強気だった吉本興業は東京新聞の取材に対して17日、「(松本が)強制的に性行為をしたとは思っていない」と回答するなど、トーンダウンの色を隠せない

かつて週刊文春での統一教会報道に携わっていたジャーナリストの有田芳生氏(71)によれば、同編集部に「すごい人数」からの告発がなされ、「合意ではないケースの証言」がすでに出ているとしている。吉本興業サイドの態度の変化は、かような状況を察知してのことなのだろうか。

性加害疑惑の矛先は当人だけでなく、「松本擁護に回っていた芸人やその仲間内にまで波及。過去の破廉恥行為がこれでもかと掘り起こされる事態ともなっている。

一方で、このような動きは特定の人物を集中的な批判や不買運動によって社会的に排除する「キャンセルカルチャー」だとする指摘や、一般市民が大勢で加害者である権威者(政府、大企業など)を攻撃する「強いものイジメ」だと批判的に見る向きが存在することもまた事実だ。

千原ジュニアが語った木村祐一の「冷凍鶏肉投げつけ事件」

NHKの人気番組『チコちゃんに叱られる!』で、チコちゃんの声や「知り合いのおじさん」を担当するキム兄こと木村祐一(60)も、今回の騒動で“流れ弾”に当たった一人。ネット上で過去の「冷凍鶏肉投げつけ事件」が蒸し返され、「犯罪だ」「レイプ未遂ではないか」等といった批判を浴びているのだ。

「冷凍鶏肉投げつけ事件」とは、『人志松本のすべらない話』(フジテレビ系)の2010年6月26日放送回で千原ジュニア(49)が披露したエピソード。放送当時から遡ること十数年前のとある日の深夜、食事会でいい雰囲気になったという女性とジュニアを伴い、自宅マンションに向かった木村。その後、木村は女性を別室に連れ込んだが、しばらくしてその女性が「私はそんなつもりで来たんじゃない」と出てきたという。

こんな様子を語りつつジュニアは、「そんなつもりじゃない言われたって、いやいや、それ以外何があるんですか」と挟み込み、「これはキム兄キレてるぞ」と思いきや、当の木村は無表情で冷凍庫から「カッチカチの鶏肉」を取り出し、「これなー、いらん鶏肉やからおれは今からこれを捨てんねん」と言い放ち、玄関でハイヒールを履こうとしている女性の足元に向けて投げつけたというから驚きだ。それからの状況をジュニアはこのように続けた。

「ほんだらその玄関を鶏肉がココココココーン」

ここで松本を含むスタジオのタレントたちが大爆笑。さらに木村は焦る女性に向かい「俺は捨ててるだけやで」と何度も繰り返し鶏肉を投げ続け、逃げる女性をエレベーターの前まで追いかけ再投し、なかなか来ないエレベーターを諦め一刻でも早くマンションから逃げ出そうと階段を駆け下りる彼女にラスト一投を決めたという。冷凍鶏肉が床を滑り、壁に激突する音をジュニアが「ココココココーン」「カカカカーン」と表現するたびスタジオ中が爆笑に包まれるという、なんとも異様な3分間だったことに間違いはない。

一部で囁かれる『チコちゃんに叱られる!』打ち切り説

木村と言えば、面倒見の良さと細かい気遣い、さらに抜群の料理の腕を持つことなどから今田耕司(57)や東野幸治(56)らから「松本人志の嫁」と呼ばれ、多くのダウンタウン出演番組を手掛ける構成作家で同級生の高須光聖(60)からは「松本の第一夫人」とからかわれるほどの間柄と言われる。そんな木村が声を担当する『チコちゃんに叱られる!』のチコちゃんは、老若男女を問わないお茶の間の人気者だが、「もうチコちゃんを見る気になれない」「叱られても笑えない」「チコちゃんが叱られる!」「NHKはこんな人間を起用し続けるのか」といった批判が殺到。一部では「チコちゃん存続危機」までもが囁かれる有り様だ。

テレビ業界関係者はどう見ているのだろうか。NHKでの番組制作経験を持つ男性はこう語る。

「NHKもジャニーズの件で懲りてますからね。私の周りでは、今の時点での突然の打ち切りはないのでは、という意見もありますが、例えば文春砲の追撃で木村さんの名前が上がるなんてことになったら、状況は一変する可能性もあると見ています」

事実、NHK会長は17日の会見で、松本の性加害疑惑について「事態の推移を注視している」「(吉本は)事実解明に力を入れていただけるとありがたい」と発言。『チコちゃん~』への直接的な言及はなかったものの、木村への“鶏肉批判”も把握していると見るのが自然だろう。

はたして今後、『チコちゃん~』はどのような道を辿ることになるのだろうか。ネット上では「木村祐一降板」を求める声が大半だが、一部では「いきすぎた批判」に疑問の声も上がっている。10年も20年も以前の話を現在の基準で断罪するのはおかしい、そんなことをされては芸能人はすべて消えてしまう、というのだ。

「冷凍鶏肉投げつけ事件」放送当時のコンプラ意識

そこで気になるのが、当時の日本のコンプライアンス意識や空気感だ。木村の「冷凍鶏肉投げつけ事件」やそれを笑い話として扱ったジュニア、番組、吉本興業の姿勢等々、上記『人志松本のすべらない話』が放送された2010年時点では、どう受け止められていたのか。

例えば、コラムニストの故・小田嶋隆氏は、2010年の7月に痛烈な批判を文章として発している。

チコちゃんに叱られろ!

このような苦言を呈していたのは、一部の有識者ばかりではない。実は当時のネット掲示板でも、「これは犯罪ではないのか」「レイプ未遂じゃないの?」といった指摘が相次いでいた。

女性に性交を拒否され冷凍鶏肉を投げつけるという傍若無人な振る舞いは、時代を問わず多くの人にとって受け入れがたいというシンプルな話。たとえブラジル産だろうが国産だろうが、それは変わらないようだ。

「芸能人叩きは、弱者による強者イジメだ」は果たして正論か?

松本にせよ木村にせよ、なぜ2024年の今になって、過去の所業が告発され窮地に立たされているのだろうか。そこには、ネット文化の成熟や、CMスポンサーへの働きかけといった抗議手段の洗練により、これまで黙殺されてきた声なき声がやっと世間に届くようになったという側面も大きく影響しているだろう。

冷静に考えてみれば、「視聴者」とは長年真面目に働き続けてきた市井の人たちにほかならない。上司として部下として、反社会的勢力やセクハラ・パワハラ排除といったここ10~20年の意識の変化を肌で感じ、対応に苦慮しながらも懸命に生きてきた人たちだ。そんな人々が、つかの間の息抜きにテレビでお笑い番組を見ている。

「芸能人ばかりが叩かれるのはおかしい、弱者による強者叩きだ」と主張するのは自由だが、芸人の傍若無人にすぎる振る舞いを「視聴者」がどう感じるかも、また自由だ。ブラック企業に置き換えると、「会社や経営者の犯罪行為を社員が告発するのは強いものイジメだ」と主張することと同義とはならないか。

折しも、読売テレビ社長の「松本さんと被害に遭われた女性が対決してくれるというのであれば、今すぐにでも私は放送したいと思う」との発言が大炎上している。

テレビ業界や芸能界の認識は、根本的に「おかしい」のかもしれない。

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