迷走するバイデンの票がどんどん消えている
いずれにしても、「常識的」な候補であるヘイリー氏が大逆転という可能性は低い中で、「もしトラ」の恐怖を減らすということでは、大応援団がトランプを「褒め殺し」の上で、「骨抜きに」あるいは「毒消し」してゆくストーリーが動き出していると見るのが良さそうです。
そう考えると、むしろ、日々苦境に立ちつつあるのは、民主党のバイデン候補の方かもしれません。
直近の情勢としては、イラン系のテロ集団とは、事実上の交戦状態に陥ってしまいました。
イエメンのフーシ派については、日本の船舶も含めて散々やりたい放題でしたから、サウジだけでなく米軍も参加して管理するというのは、流れとして成立はします。
ですが、シリア領内、更にはイラク領内のイラン系の施設をどんどん空爆で潰すというのは、不測の事態が心配です。
3名の米兵が殺された報復として、バイデン氏は、対応が弱ければ「弱腰だ」として叩かれる中で、攻撃しない自由はなかったのかもしれません。
ですが、仮に戦闘をエスカレートさせてしまうと、民主党支持層の中から更なる批判を浴びる可能性があります。
更にインフレの問題があります。
石油価格を含めて確かにインフレの数字は沈静化しています。ですが、物価「上昇率」の抑制には成功していても、上がってしまった物価が下がるわけではありません。
依然としてランチのファーストフードは、ドリンク込みで20ドル(3千円)、スーパーの牛乳は半ガロン(1.9リットル)で4ドル(600円)という異常な値段になっています。
実は、最低賃金の上昇(15ドルから都市部では事実上20ドルへ)も反映している中では、下がる可能性は低いのですが、この点において、バイデン政権は、世論の不満が理解できていないようです。
自分は「インフレ抑制に成功」などと発言するだけで、票がどんどん吹っ飛ぶという感覚はこの方には弱い感じがします。
この記事の著者・冷泉彰彦さんのメルマガ