「和食・麺処サガミ」チェーン鎌田敏行さんは、今度は「味の民芸」という業績悪化していた手延べうどんを表看板にする業態の業績回復も任されることになりました。この時は、自分の右腕である大西尚真さんに一切を委ねました。大西さんは鎌田さんと同様にひたすら現場である店舗を回り続けたのです。
そんな中で一筋の光が、浮かび上がってきました。現場で働く従業員の店に対する思いで「もっと自分たちは、おいしい料理を作りたいんです。でも今、現実的にできていない。それが悔しいです。」それまでに業績回復のために行っていたのは「コストカット」一辺倒で、間接照明はつけないは、食材の原料は徹底的に抑えるはでした。
差別化の切り札として思い至ったのは「手延べうどんの大改革」でした。最高品質の原料を使い手間を惜しまずに、これに賭けようとしたのです。ところでこの案はみんなの賛同を得たのかというと、よくあるパターンです。「リスク」を恐れる幹部たちは一斉に大反発したのです。「リスクを冒せないのが、最大のリスク」のよくある場面だったのです。
この時、トップマネジメントの最終意思決定を下しました。それを受けた現場従業員の健闘のもとに半年間かけて、原料、製法見直しで「ツルツル感」「喉越し抜群」のうどんを作り上げたのでした。結果は、値段は高くなったのですが、こだわり料理は評判をよんで「ありがとう。おいしかった。また来るね。」とまで言わしめるようになったのです。この改革後、一年で黒字化を果たせました。
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