「JRタブー」とリニア新幹線の闇。川勝静岡知事「悪玉説」を流布するのは誰だ?日本最後のフィクサーと安倍の呪い

 

「日本最後のフィクサー」葛西氏と安倍元首相の不健全な関係

そもそも、静岡県知事がリニア新幹線に反対する理由は、今後、南アルプスの山間をぶち抜く工事が進められていくなかで、予測不可能な水問題に直面する可能性があるからである。リニア新幹線を推進する“JRの手先”どもに騙されてはならない。

そのリニア中央新幹線を推進してきたのが、「日本最後のフィクサー」とも「国商」ともいわれる葛西敬之氏(2022年死去)だ。

葛西は、小泉純一郎氏が第一次安倍政権に譲る前に国家公安委員会委員に選ばれ、まずは「教育再生会議」のメンバーとしての内閣との結びつきを深めていく。

そして自民党が下野したあとの民主党政権時代にも、東日本大震災の悲劇に見舞われた際にも政府の政策に関与。

とくに、葛西は福島第一原発事故により経営危機に陥った東京電力の経営・財務調査委員会ならびに原子力損害賠償支援機構運営委員会の委員に就任。当時、脱原発や電力自由化の機運が強まる中で、葛西は積極的に“原発推進”の立場を明確化した。

そうしたなかで、安倍氏の政権カムバックを後押しするとともに、実際にそれを実現した。

第二次安倍政権の発足にあたり、葛西は安倍氏の側近として旧知の官邸官僚を送り込む。それが警察庁出身の杉田和博氏であり、経産省出身の今井尚哉氏であった(*6)。

黒幕に徹しながら政府を利用した「憂国の士」

その葛西の悲願が、リニア中央新幹線の実現だった。

実際、リニア新幹線は安倍政権下の経済政策である「アベノミクス」における成長戦略の目玉に位置付けられ、そこからリニア新幹線の工事は日本政治と“一体化”していく。

葛西は、安倍晋三元首相が「憂国の士」と呼ぶほどまでに敬愛してきた人物だ。

彼は日本という国家を自身のビジネスの場として露骨に利用し、政府や政策を操ろうとした。まさに「国商」である。

他方、葛西自身は、表舞台に立たない黒幕に徹した。それが「最後のフィクサー」と呼ばれる所以だ。

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