「裏金を納税するのか、しないのか」2時間54分の国会演説で自民に迫った野党議員「ぼやき漫談」の大正論

2024.03.08
 

ポイント解説を加えつつ山井氏が読み上げた裏金議員の「罪状」

「審議打ち切り」への怒りを一通り力説し終えると、山井氏はおもむろに、議場に持ち込んだ分厚いファイルを開き、読み上げ始めた。自民党の裏金議員に関する膨大な資料だった。

「まず、安倍派、青山周平議員。岡崎市などの愛知12区を地盤とする青山周平衆院議員、比例東海。青山議員は、18年から22年(まで)で、計230万円が不記載。『派閥事務局からの説明通り、記載していなかった』とし『還流分は使用することなく、現金で保管していた』と釈明した。これ1人目ですけど、自民党さん、大丈夫ですかこれ?『環流分は使用することなく、現金で保管していた』。これ雑所得で、税務申告しないとダメなんじゃないんですか?」

こんな調子で山井氏は「裏金議員の実態」を一人一人、時にポイント解説を加えながら読み上げていく。

「もうですね、誰か勇気ある議員がね、国税庁と話して『雑所得に当たるんだったら納税しますから』(と言えばいい)」

「納税するのか、脱税するのか、二つに一つ。自民党の皆さん、納税するのか脱税するのか、どっちにされるんですか?そろそろ腹決めたらどうですか?私、なんか難しいこと言ってますか?」

さらに山井氏は、岸田首相が「志ある議員は政倫審に出て説明責任を果たしてほしい」と発言したことを取り上げ、こう続けた。

「政治家たるもの、困っている人のために役立ちたい、納税者の声を届けたい、地方の声を届けたい、福祉現場の声を届けたい、日本の国を守りたいという志があるから、自民党の皆さんも国会議員になられたんじゃないんですか。志、あるんですよね?」

議場に沈黙が流れる。山井氏は思わずこう漏らした。

「何かシーンとしてますね?」

この直後の発言が、裏金問題を予算委員会で取り上げることの本質を突いていた。

「国会議員と国会の重要な任務は、国民の皆様にしっかりと納税していただくことなんですよ。しっかりと納税していただくことによって、予算が執行できるんじゃないんですか。自民党の議員を見習って脱税する方が万が一増えたら、これ予算欠損になっちゃいますよ。

だから私達は、与野党を超えて、国会議員もきっちり雑所得、個人所得は納税しましょうと。そのことによって予算もきっちり執行できますね、と言っているわけです」

「自民党の方々が脱税やりたい放題だったら、そんな自民党を中心とする政府が作った法律や予算を、国民の皆さんは信用しないんじゃないですか?だから、裏金問題、脱税問題というのは、予算問題と不可分なんです」

演説のなかで、山井氏が「志ある裏金議員の方々」と口にした時には、爆笑しすぎて椅子から転げ落ちそうになった。

だが、与野党対立が先鋭化したこの局面で、山井氏のこういう(意図したものかどうかはわからないが)どこかユーモアのある語り口が、長時間演説を最後まで「聴かせる」ことに大きく寄与したのも確かだと思う。

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