松野氏個人が自由に使える金=本来なら課税対象
同じ日付で、記載、不記載が分かれることについて枝野氏はこう疑問を呈した。
「家族で利用したとか、政治資金かどうか怪しいものを裏金で支払ったと疑われても仕方がないのではないか」
松野氏は「清和会から還付されたものの帰属先は政治団体であることは捜査でも認識をされており、政治資金としての活動目的に適合したものと考えている」と反論する。
検察が裏金の帰属先を政治団体「松風会」と認識したから、そこで使うカネは政治資金だというのだが、むろんこれでは答えになっていない。
「松風会」の2021年末繰越残高は、55万円から890万円に訂正された。この差額835万円がキックバックによる裏金であり、松野氏は21年末の時点でそっくりその金額が事務所の金庫に保管されていたことを認めている。
松野氏は検察の指摘に従い松風会の収入として訂正記載し、裏金を使った店の領収書をかき集めて事後的に政治資金としての体裁を整えた。
政治資金なら所得税はかからないが、事実上、個人が自由に使えるお金だったわけで、本来なら課税対象とされるべきである。
訂正された松野氏の収支報告書から浮かび上がったのは、安倍派が作り続けてきた裏金の使途のごく一端にすぎない。
同じ安倍派幹部、萩生田光一氏などは収支報告書を訂正したものの、収入・支出・繰越額ともに不明としているから、松野氏のように会合費や会食費を追加するといったこともなく、いぜんとして裏金の使途は不明のままだ。