統一教会「勝てるものを選んで訴えた」の戯言
判決文には「争点」が4点示されている。
- 本件発言の名誉毀損としての違法性の有無
- 本件発言についての被告会社の不法行為責任の有無
- 原告の損害
- 被告らによる名誉毀損回復措置の要否
判決文は、原告と被告の主張を述べていく。裁判官は番組のテーマが萩生田光一議員と教団が関係を断つことであり、問題とされた発言はたった8秒であり一般視聴者の印象に残るものではないと判断した。
「本件発言により、原告の社会的評価が低下したとはいえないから、本件発言に名誉毀損としての違法性は認められない」。「結論」は「原告の請求はその余の点について判断するまでもなくいずれも理由がないから、これらを棄却することとして、主文のとおり判決する」。
4つの争点の最初で違法性がないから、それ以外は「判断するまでもない」という構成になっている。裁判官は1,000ページを超える証拠を見たうえで、統一教会の悪質性、組織性、継続性を認識したうえで、門前払いしたのだ。そもそも訴える必要もない裁判を提起したこと自体が教団の悪質性の証明である。
教団の福本修也弁護士は、記者会見で「勝てるものを選んで訴えた」と語っていた。ところが統一教会は、八代裁判、本村裁判、有田裁判、紀藤裁判と4連敗だ。教団内部でも「訴えるべきではなかった」との声が多かった。統一教会は裁判闘争に進んだことで、自らの首を絞めることになった。
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image by: Sun Myung Moon, CC BY-SA 4.0, ウィキメディア・コモンズ経由で