韓国の「医療大戦」辞表を出した専攻医たちはいま生活苦に陥っている

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韓国の医療ストライキで病院を離れた専攻医たち。収入のない状況で生活苦を訴える人も少なくないのだとか。無料メルマガ『キムチパワー』の著者で韓国在住歴30年を超え教育関係の仕事に従事している日本人著者が、現在の韓国の状況を伝えています。

給料が切れ「自暴自棄、無気力状態」韓国の専攻医ら

専攻医らが病院を離れてから1か月が過ぎ、生活苦に無力感を訴える専攻医らが少なくないという。また、これを見守る家族の悩みも深まっている。

大韓医師協会のノ・ファンギュ前会長は3日前にもSNSに、おむつと粉ミルクを受け取った専攻医たちが残したコメントを紹介したりもした。

彼によると、ある専攻医は「まもなく子供が生まれるのに収入がなくマイナス通帳で持ちこたえなければならないが、このように実質的な支援までしてくれて本当に感謝している」と書き残した。

また別の専攻医は「家長として資金難がありおむつと粉ミルクを申請することになった。先生の労苦と善意に心から感謝する。私もこの恩を忘れずに返していく」と書いた。実際、家庭の事情が悪かったり、すでに家庭を築いた専攻医らは、医療現場から離脱した後、給料が減り、直ちに食べていく心配に置かれている。

ある医療界の関係者は「専攻医の年齢が少なくても20代後半で、普通は30代前半や半ばになるため、家長である専攻医も多い」とし、「その上、医師なら皆豊かに暮らしていると思うが、生活が苦しい専攻医も思ったより多い」と述べた。

夫がソウルのある大学病院で3年目のレジデントとして勤めてきたというA氏は「夫が先月辞めてからは完全に無気力状態に陥った」とし「家によく帰れず忙しい人生を送ったが、本人の夢を追いかけ、心を込めて患者の世話をしてきたが、状況がこのようになったことに傷心が大きいようだ」と話した。それと共に「ひとまず貯めておいたお金で暮らしてはいるが、子供もいるのにいつまでこんな事態が持続するかも分からず夫の顔色だけを伺っている状況」とし「他の仕事をしなければならないかまで悩んでいるようだが、気が揉める」と吐露した。

一人の子供の父親であり、首都圏の大学病院でレジデントとして勤めたB氏は「政府がわれわれの手足をガッツリ縛っておきながら帰って来いという言葉だけを繰り返しており、今は本当に戻りたい気持ちさえも消えた」とし、「今までやってきたことは勉強と病院で患者の面倒を見ることしかなかったが、これから何をして生きるか途方に暮れている、人生計画を再び練っている日々」と話した。

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