3月8日、夫婦別姓を認めない民法の規定は憲法に違反するとして、都内などに住む12人が国に賠償などを求める訴えを起こしましたが、メディアの扱いは決して大きくありませんでした。
原告には、仕事の都合上、30年前に結婚した夫と5回にわたり結婚と離婚の繰返しを余儀なくされた女性もいます。
女性はJAXA=宇宙航空研究開発機構で国際的に活躍する技術系職員で、NASA=アメリカ航空宇宙局などとの会議にも参加しています。NASAなどの施設はセキュリティーが厳しいため戸籍名でしか通行証は発行されず、結婚して名字を変えた場合に支障が生じるそうです。
こういった制度上の問題もありますが、「名前」は個人のアイデンティティの一部です。結婚して苗字が変わると旧姓でひもづいていた「キャリア」を維持できなくなる場合もあり、不利益を被るのは苗字を変えた「女性」です。
「すべての女性を輝かせます!」と一国の総理が世界に発信していたのに、夫婦別姓という文字を消すという真逆のことを平気でやってのけるのが、今の日本です。悲しいやら情けないやら、日本はいったいどこにむかっているのでしょうか。
ちなみに、明治3年9月19日に公布された太政官布告第608号「平民苗字許可令」以来、日本にはおよそ13万種類の名字があり、すでに5万種類が5軒以下の「絶滅危機」にあるそうです。
あなたのお名前なんですか?絶滅危惧種になりそうですか?
みなさまのご意見、お聞かせください。
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