日本政府にも日銀にも、金利を上げつづける覚悟はない
もし、日銀がどうしても円高にしたければ、どうすればいいのか。
簡単だ。金利をどんどん上げていけば目的を達成することができる。
「強い違和感を持っている」とか、「あらゆる手段を使う」とか、いちいちそんな決意を述べなくても、ただ単に政策金利を「もっと上げる」だけで円高に触れる。
しかし、日本政府も日銀も金利をどんどん引き上げる決意は持っていない。
金利を引き上げれば、これまで長期債を大量に買ってきた日銀は国債の利払い負担が増加する。
さらに企業の資金調達コストや家計のローン返済負担が増加して脆弱な日本経済がポッキリと腰折れする可能性もある。
ちなみに、住宅ローンを組んだ日本人の7割は「変動金利」である。ギリギリでやっている人たちは金利が1%でも上がったら、年間で数十万もの返済額が上がって一気に首が絞まる。経済破綻しなくても利払いで窮する。
わかりやすくいうと、日本は金利をどんどん引き上げていけるような状況になっていないのだ。
「金利を引き上げたら日銀自身が破綻する」と主張するアナリストもいるが、そう思われてもしかたないほど日銀のバランスシートや日本人の家計は醜悪だという話でもある。
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