小池百合子が絶たれた「日本初の女性首相」への道。東京15区補選に“女帝”が出馬を断念した深刻なウラ事情

2024.04.16
 

求められる「無党派層が望む政策」を実現させる強いリーダー

このような「史上初の女性首相」という悲願を達成する、もう1つの戦略が乙武氏の擁立には隠されているように思う。だが、それも難しい状況に追い込まれている。乙武氏の過去のスキャンダルが蒸し返されており、自民党、公明党が乙武氏の推薦を見送ったのだ。

さらに、小池氏を「文春砲」が襲った。カイロ大学を卒業したとする経歴を巡り、卒業を認めるカイロ大の声明文原案を知事側が作成していたなどと、週刊文春が報じたのだ。このスクープの衝撃もあり、乙武氏への支持が予想以上に広がらず、苦境に立たされている。

結局、東京15区補選からみえるものは、政権交代を実現する絶好の機会でありながら、そのためにまとまろうという姿勢がなく、バラバラに争うだけでサイレント・マジョリティである無党派層をつかめない野党のだらしない姿だ。これでは、青息吐息の自民党を延命させるだけであろう。

今、必要なのは、過去のいきさつを越えて野党をまとめ、サイレント・マジョリティが望む政策を実現するために指導力を発揮する、強いリーダーではないだろうか。

image by: X(@ファーストの会

上久保誠人

プロフィール:上久保誠人(かみくぼ・まさと)立命館大学政策科学部教授。1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。主な業績は、『逆説の地政学』(晃洋書房)。

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