小池百合子が絶たれた「日本初の女性首相」への道。東京15区補選に“女帝”が出馬を断念した深刻なウラ事情

2024.04.16
 

まず知るべき国民の大多数が野党の姿勢に白けきっている事実

無党派層が増大している現状が示唆することは、立憲民主党が共産党を切って、維新の会や国民民主党とともに中道主義的な政策路線を取るべきだということだ。そうすれば、安倍政権以降「社会民主的」なバラマキを続けてきた自民党に対する抵抗軸を明確に打ち出せる。無党派層から「政権担当可能な勢力」と認められることになる。だが、残念ながら、無党派層の想いは、「コアな支持層」しか見えていな野党には届いていないようだ。

今、サイレント・マジョリティである無党派層にみえているのは、自民党に代わる政権を担当する勢力になるのだという姿勢がまるで見えない野党の姿なのだ。国民の大多数が野党の姿勢に白けきっていることを、まず知るべきだろう。

特に問題なのは、立憲民主党だ。元江東区議の新人酒井菜摘氏を擁立すると発表した。問題は、その出馬会見で同席した手塚仁雄都連幹事長が、共産が擁立を発表している新人の小堤東氏について、「(昨年12月の)江東区長選でも共闘した経緯がある」と述べ、候補者調整を進める意向を示したことだ。そして、小池晃共産党書記局長は、小堤氏の擁立を取り下げ、酒井氏を支援する表明した。立民と共産の候補の一本化が実現した。

江東区は、元々不破哲三共産党元中央委員会議長の地元だった。共産党が強い地盤を持つ地域で、候補者一本化によって、酒井氏が有利に選挙戦を進める情勢となっている。しかし、この補選で勝利しても、来たる総選挙に向けて、立憲民主党になにが残るのかということだ。

立憲民主党が共産と共闘する姿勢を見せることは、コアな左派の支持を固める一方で、有権者の60%以上を占めるサイレント・マジョリティである無党派層の票を捨てるということだ。「万年野党」を目指すならば安定した票田だが、政権交代は遠のくばかりとなる。

乙武氏擁立は小池氏の悲願達成への「最後の仕掛け」か

一方、繰り返すが「ファーストの会」の副代表である乙武氏が、幅広く支持を得るため無所属として出馬する。この乙武氏の出馬には、自民党に担がれて「史上初の女性首相」になる道を閉ざされたかにみえる小池氏の悲願達成への「最後の仕掛け」があるのではないかと思う。

それは、非自民勢力を結集することで、小池氏が首相となるもう1つの悲願達成戦略だ。乙武氏が補選に勝利し、「ファーストの会」が国政政党になる。それを足掛かりに、次期衆院選にファーストの会として全国に候補者を擁立し、小池氏自身も出馬する。そして、維新の会、国民民主党、左派を排除した立憲民主党と共闘体制を築いて無党派層の票を狙う。過半数を獲得して政権交代を実現するというシナリオだ。

それは、かつて小池氏が政界入りを果たした「日本新党」が中心となった細川護熙政権の再現であり、小池氏が率いて政権交代を狙った「希望の党」の再結集と再挑戦でもある。

改革と地方主権を掲げる馬場伸幸維新の会代表、消費増税を封印し、安全保障政策などで現実路線を志向する泉健太立憲民主党代表、中道路線で与党と是々非々の玉木雄一郎国民民主党代表、そして、かつて民進党を希望の党に合流させて政権交代を狙った前原誠司氏。政策的には皆、現実的で自民党に満足できない層に響く、一致するところがある。

彼らがまとまれば、自民党政権を倒す「シン・野党連合」のようなものができる。もちろん、彼らには簡単に一緒になれない過去の様々な因縁がある。それを乗り越えて「シン・野党連合」をまとめ上げられる力量がある政治家が今の野党側にいないのが問題だ。だが、小池氏ならば、修羅場の経験値に裏打ちされた力量がある。

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