小池百合子が絶たれた「日本初の女性首相」への道。東京15区補選に“女帝”が出馬を断念した深刻なウラ事情

2024.04.16
 

パー券裏金事件に関する処分で絶たれた小池氏「日本初の女性首相」への道

それは、自民党派閥の「政治資金パーティー裏金事件」に関する処分の問題に関係している。時をさかのぼって今年1月、東京地検特捜部は安倍派・二階派の会計責任者を虚偽記載の罪で在宅起訴、岸田派の元会計責任者も略式起訴した。

それを受けて、岸田首相は自らの岸田派の解散を表明し、安倍派、二階派も解散せざるを得なくなった。最大派閥の安倍派は、派閥の解散だけではなく、「安倍派幹部5人衆」など、岸田内閣で多くの要職を占めていた人物は全員が失脚した。また、疑惑と直接関係がない森山派、茂木派、谷垣グループも新たな政策集団へと移行した。麻生派だけが存続することとなった。

続いて、衆参両院の「政治倫理審査会」を経て、3月に自民党は安倍派と二階派の議員ら39人を処分した。安倍派の座長・塩谷立元文部科学大臣と、参議院側のトップ・世耕弘成前参議院幹事長が「離党勧告」、下村博文元政務調査会長と西村康稔前経済産業大臣は1年間の党員資格停止、派閥の事務総長・高木毅前国会対策委員長は半年間の党員資格停止、事務総長経験者の松野博一前官房長官と、萩生田光一前政務調査会長は1年間の党の役職停止となった。

二階派は、事務総長・武田良太元総務大臣、林幹雄元経済産業大臣、平沢勝栄元復興大臣が1年間の党の役職停止。ただし、5年間の不記載が3,526万円と最も多かった二階俊博元幹事長は次の衆議院選挙に立候補しない考えを表明し、処分対象外となった。

皮肉なことだが、この一連の「裏金問題」の処分という自民党の危機が広がる一方で、小池氏の悲願達成の芽は摘まれることになったと思われる。例えば、小池氏と親密な関係なのは、自民党東京都連会長・萩生田前政調会長だ。今年1月、萩生田氏のお膝元・八王子市の市長選で、自民党推薦の初宿和夫氏を小池氏が応援している。

萩生田氏が裏金問題の渦中にあり、選挙は異例の大苦戦の選挙となっていた。そこに小池氏が応援に入り、形勢を逆転させて初宿氏は辛勝できた。小池氏は萩生田氏の窮地を救い、恩を売った形となった。小池氏が国政復帰して首相を目指すならば、萩生田氏を中心に安倍派が担ぐ形になると思われた。しかし、萩生田氏の処分で、それは難しくなった。

さらに、二階俊博元幹事長が次期衆院選に出馬せず今季限りで引退すると表明した。二階氏は、小池氏が政界入りした90年代から、新進党、保守党、そして自民党と行動を共にしてきた。小池氏が自民党と袂を分かっても、その親密な関係は続いてきた。だから、小池氏が国政に復帰し、日本初の女性首相を狙うなら、最大の後ろ盾は二階氏だとみられていた。しかし、二階氏が政界引退を表明してしまった。

二階氏の引退には、岸田首相との「裏取引」が囁かれている。二階氏は、自身の三男を後継者とし、選挙区を「世襲」するつもりでいた。一方、離党勧告を受けた世耕前参院幹事長が同じ和歌山選出だ。将来首相の座を目指したい世耕氏は、二階氏の引退後、その選挙区を引き継ぎ衆院への鞍替えを狙ってきた。衆院選挙区を巡って、二階・世耕は「戦争状態」にあった。

そこに、岸田首相が「裏取引」をもちかけたというのだ。二階氏が政界引退すれば、裏金問題で処分はしない。その選挙区の後継を三男とする。そのために、世耕氏を「離党勧告」し、衆院に鞍替えする芽を摘む。さらに、世耕氏の参院選挙区に、二階氏の長男を公認候補として擁立することも検討するという。二階氏はその取引を受けたというのだ。

print
いま読まれてます

  • 小池百合子が絶たれた「日本初の女性首相」への道。東京15区補選に“女帝”が出馬を断念した深刻なウラ事情
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け