「虚偽事項公表罪ヤバいわよ!」小池百合子が7月都知事選で「カイロ大卒」を明記できぬ訳。女帝に迫る覚悟のとき

 

小池知事を追い詰める50年前の嘘。逆質問に白ける記者たち

さて、冒頭の記者会見のシーンに戻ろう。記者たちは当然のことながら、小島氏の主張に対する小池知事の見解を聞く。つまり、カイロ大学の声明文は大学が出したものではなく、小島氏が発案しA氏が作成した文案に修正を加えたうえで知事側から大使館に依頼して掲載されたのかといったことだ。

これに対し、小池知事は「大学を出たことを誰が証明するんですか」と記者に逆質問し、少し間を置いてこう言った。「大学でしょ。卒業を証明するのは友達でも親でもなく自治体でもなく大学が証明する。大学が証明しているのに他の方が詐称と言っているのがわからない」。

「小島氏が知事に提案してからわずか3日後にカイロ大声明が公表されたのは余りにも早すぎるのでは」と記者が質問すると、小池知事は余裕の笑顔を浮かべてこう言った。

「そもそも私、卒業というファクトがあるわけです。それにカイロ大学が意思をもって発出された。ファクトのベースがあるからスピード感があると思う」

要するに小池都知事は、小島氏が暴露した事実には一切コメントせず、「カイロ大学が卒業を証明している」の一本槍で突き進むスタンスなのだ。

カイロ大学は入学できても進級するのが難しい。「女帝 小池百合子」に登場したエジプト留学時の同居人、北原百代さんが、文藝春秋最新号に実名で「カイロで共に暮らした友への手紙」という文章を寄せている。

エジプトでは口語と文語が分かれています。…インテリ層が通うカイロ大学の教科書や授業では文語が使われています。この文語はエジプト人ですら使えない人も多い。だからエジプト人でも4人に1人が留年するといわれています。…外国人は入学を融通してもらえても、進級試験では容赦なく落とされる。

アラビア語が堪能ではない小池氏は進級試験に落ち、JALの現地スタッフとして働きはじめたが、1976年秋、サダト大統領夫人が来日する半月ほど前に日本に戻り、父が関係する日本アラブ協会の推薦で夫人のアテンド役をつとめた。それが新聞に取り上げられ、テレビ、ラジオにも次々と出演した。

カイロに戻ってきた小池氏から見せられた日本の新聞に「カイロ大学文学部社会学科を日本人女性として初めて卒業した」と紹介されているのを見て北原さんは「そういうことにしちゃったの?」と驚いたが、小池氏が後に今のような地位に就くとは夢にも思わず、注意することもできなかったという。

事実とは違う美しいストーリーを仕立てあげ、その主人公として自分を売り込む小池流「人生マーケティング」の最初のステップだった。

その後、小池氏は、男社会のメディア、政界に飛び込んで、「ジジ殺し」と評されながら政財界の大物に近づき、引き立てられ、のしあがっていった。

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