いじめや不登校を隠ぺいすれば出世できる法則も。いじめ探偵が抱く「この国はどこを向いて教育を行っているのか?」という疑問

 

最も項目として多い重大事態

重大事態いじめとは、いじめにより児童生徒の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。いじめにより児童生徒が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。という極めて深刻ないじめ事件のことである。

ほとんどは、犯罪行為が確認されるというものだが、第三者委員会が設置されるのも、こうしたいじめの場合だ。

正直なところ、各省庁が話し合う項目として、重大事態についてを挙げるのは、もっともだ。しかし、資料を見る限りもっともではあっても、その内容をみると、人選の確保や職能団体への説明などとあるから、未だに大臣クラスの会議でこれをやっているのですか…とアニメで言えば頭にトンボがとんでいるような(表現古い)あっけにとられる状態だ。

そして、私が資料を読んでいて違和感が残ったのは、一点。

学校や専門家の意見を求める一方、被害側の意見を求める一文は一つも確認できなかったことだ。

一応書籍も出している専門家の端くれとして言うならば、専門家同士で話してもせいぜい出るのは学校のオペレーション的な問題と法解釈の問題程度だ。当然、改正期に改正できずに座長試案で空中分解したいじめ防止対策推進法は改正すべきなのだが、専門家とAIがコネコネと問題をブラッシュアップするのであれば、被害側にインタービューした方が早いし確実なのだ。

一方で、いわゆる御用学者の中には、いじめ問題に出てくる保護者に敵対心を抱き、第三者委員会の設置を求める保護者に対して「後付けいじめ」「いじめ利得」を求めるものとして問題提起するものまでいる始末だ。

仮にこうした意見に省庁が毒されれば、いじめ対策はもはや後退する一方で、声にならない被害者のか弱き声は、権力におもねいた御用○○の方々の大きな声にかき消されてしまうだろう。

まあ、だから対策が、全く効果がないというのは、各統計の数字を見れば明らかなのだが。

会社に置き換えるのはどうかと思うが、効果がない対策しか打てないコンサルタントは、秒でクビになる。結果を出せない探偵は、どんなに良い学歴で親が偉い人でも、「ヘボ探偵」「無能」の烙印の元、依頼は来なくなる。

偉ければ黒でも白になるのは、『タイムボカン』の歌にだけにしてほしいものだ。

被害側の意見に耳を貸さないのであれば、結局延々にこの問題は解決しないであろう。

被害に悩む方、いじめ問題に関心がある方、専門家の皆さんには、改めて、今、国が、自治体が、何をしているのか、新聞やテレビと言ったメディアフィルターを通さずに、自らの耳と目で確かめてみて欲しい。

人生ゲームで言えば、今は、ピンを指す車の色を決めているところだ。

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