いじめや不登校を隠ぺいすれば出世できる法則も。いじめ探偵が抱く「この国はどこを向いて教育を行っているのか?」という疑問

 

被害者ケアは進んでいるか?

2項目目に挙げられている「被害者ケア」「加害者指導」だが、現場にいて、そうしたケアが行われているのを見たことはほとんどない。

例えば、湖西市いじめ隠ぺい事件の被害側は高校受験において必要な情報を隠され進学に支障をきたしたという。これについては現在取材を行っているところだが、不利益処分の一種とも言えるだろう。

【関連】暴かれたウソと壮大な開き直り。中2女子生徒が助けを求めた手を払いのける静岡県湖西市いじめ隠蔽事件の絶望

大島商船高専いじめ自殺未遂事件の被害者は、被害を訴えたことで不当処分をされたし、その証言をした同学年の生徒も不当処分の対象となっている。

【関連】探偵が暴露。あまりにも酷い大島商船高専いじめ自殺事件の実態

前回取り上げた町田市立の中学校では、いじめの聞き取りの際に聞き取りに当たった教員から「将来に影響する」と脅迫されたという。

【関連】また町田市か…隠された「中3いじめ自死」事件。LINEで送られた「死ね」の文字、死去の前日まで続く難癖、校長が隠ぺい“陣頭指揮”か?

例えば、いじめ自死事件が起きた後、在校生などに対して、週1回くらいしか来ないスクールカウンセラーが一定期間毎日学校にいるようになったり、窓口が開設されることはあるが、被害者にスクールカウンセラーが、ソーシャルワーカーが付き添うというのは、あまり目にしないのだ。

ある被害保護者の団体の方々が言っていたが、「スクール○○」というのは学校の味方か子分組織のようなもので、仮に学校と敵対、対立する様相になると、途端に対応が悪くなるという。

相談した内容が全て校長に報告されて、それを切り貼りされて都合よく編集され、教育委員会に報告されたという被害保護者もいた。

こうなってくれば、相談するのが怖くなる。

一方で、過去に、スクールカウンセラーの方々から相談を受けた事があるが、その雇用が異常なほど不安定で、一般の非正規雇用より過酷なんだという。それに伴い、結局、校長の意見に異を唱えようものなら翌年は職を失うこと覚悟しないといけないそうだ。問題を共有して対処しなければと思って報告したところで、結局共有されずに児童がその後不登校になって連絡すらできないと嘆いていた人もいた。

東京都のスクールカウンセラーが一斉に雇止めにあったというのも報道されていたが、何か困ったことがあれば、カウンセラーにと決まり文句のように政治は言葉に出す割りに、その処遇はブラック労働の斜め上を行くものなのだ。

それはまるで、交通整理しか習ってない警備員を丸腰で警察の役割を果たせと犯罪現場に送り出すようなものだ。最低賃金で保障もない割に責任だけは何よりも重い。

どうやら国は小さな予算をつけて推進しているようにも見えるが、焼け石に水なのだろう。

この記事の著者・阿部泰尚さんのメルマガ

登録で活動を支援する

print
いま読まれてます

  • いじめや不登校を隠ぺいすれば出世できる法則も。いじめ探偵が抱く「この国はどこを向いて教育を行っているのか?」という疑問
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け