早期に実弾介入していればよかったものを、どんどん傷口が広がってからでは、手遅れになるリスクが高まるばかりです。そうした「投機により歯止めが利かない円安」に、半歩踏み出してしまっているのかもしれません(確実に極端な円安が進むに違いない、と予想しているわけではなく、大幅な円安が進行する恐れが高まりつつある、という意味合いです)。
もし円安がこれからも大幅に急速に進むとすると、それが日本株にどう作用するか、ですが、円高でも円安でも、輸出企業の収益や日本の輸入コストなどに影響が生じます。それが個々の企業の株価の押し上げ要因だったり押し下げ要因だったりします。
しかしあまりにも急激な為替相場の変化は、円安が株価にプラスなのかマイナスなのか、という議論をすっ飛ばして、企業の行動を混乱させます。企業は、輸出売上の代金をいつどの程度先物などでヘッジした方がよいのかどうか判断に苦しみますし、いつどの程度の量、海外からエネルギーや原材料を購入するかも、決断が難しくなります。輸入コストが急激に上昇すれば、それを国内の需要者に対し価格転嫁できるかも悩ましい点でしょう。
円高でも円安でも、その変化が急激であることは、決して企業にとってプラスではない面が生じてしまいます。
別の観点では、日本株に投資している海外投資家は、通常は円相場の変動を(輸出株を買うか内需株を買うかの判断という点で気にはしていますが、あくまでも投資家全般の傾向としては)それほどは気にしていません。というのは、通常は株価の変動率の方が、為替の変動率より大きいからです。また、円安で為替差損をこうむるのであれば、円先物でヘッジすればよい、という考え方もあります。
ただ、あまりにも急速に円安が進み、それが実は日本の経済等の悪化を示唆しているのではないか、との考えが、それがまったくの誤解であっても広がっていくと、では日本株をとりあえず売っておこう、との投資家の行動につながりかねず、その点では警戒が必要です。
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