言うまでもありませんが、このスカボロー礁をはじめとする南シナ海については、中国の主権や管轄権、歴史的根拠がないことは、2016年のオランダ・ハーグの仲裁裁判所の判決で明らかであり、とくにススカボロー礁の周辺海域で、中国がフィリピン漁船に妨害を加えていることも、国際法違反だという決定がくだされています。
にもかかわらず、中国はいまだその判決を受け入れず、あくまでも主権侵害をしているのはフィリピン側だと言い張っているのです。
そして、こうした身勝手な行為が、いずれ月をめぐる主張に及んでくるのは明らかでしょう。
しかも中国側は、フィリピンとの間で「緊張を管理する新しいモデルに両国が合意した」などと主張し始めていますが、フィリピン側は協議など一切行われておらず、何らかの合意に至った事実もないと強調しています。
そもそも、本当に合意に達したなら、フィリピン側が否定するはずもなく、これは中国側が国際世論を煙に巻くための強弁であり、プロパガンダであることは疑いの余地がないでしょう。
● フィリピン、南シナ海巡る合意否定 「中国のプロパガンダ」
このような事実捏造を繰り返すのが、中国の常套手段であることは、日本に対する歴史戦でも明らかです。「嘘でも100回言えば真実になる」ということで、中国側は虚偽を繰り返し述べるわけです。
清朝末期に20年以上も中国に滞在したアメリカ人宣教師アーサー・スミスは、中国人は誤解を利用する先天的才能に恵まれているといいます。こちら側はまったくその意図はないのに、あたかも合意があったかのように振る舞い、それを押し通すのが中国人の特性だというのです。
「あなたはこう仰った」。「いや、私はそんなことは言っていない」。「ですが、あなたがそう仰ったと理解しています。私どもは皆、あなたがそう仰ったと理解しています。ですから、どうか私どもの愚かさをお許しになって、あなたが仰った通りに、そのお金をお支払い下さい」中国人と外国人の間で交わされる何千もの会話は大体このようなものだ。
(アーサー・スミス著『中国人的性格』中央公論新社)
現在もなお、中国と何らかの約束を交わすことは難しい。英中共同声明で香港の「一国二制度」を50年維持すると約束したものの、中国は2020年に香港国家安全維持法を施行し、この約束を反故にしました。
ましてや、何の合意もしていないにもかかわらず、中国側は「合意した」と言い出すのだから、もはやまともに付き合うことすら無理なのではないかと思えてきます。
加えてアーサー・スミスは、中国には公共精神が欠如していると述べています。
中国人は、<公>のものに関心を持たないどころか、もしその公的財産が保護されておらず、またそれが利用できるものであれば、盗みを働こうと狙っている。道路の敷石は自分で使うために持ち去るし、(中略)中国のある港では、外人墓地を管理する者が誰もいないと分かるや、塀のレンガは一つ残らず持ち去られてしまった。
(同書)
このような特性があるため、月をめぐっても公共精神などあるはずがなく、勝手に自己ルールを持ち出して、権利を主張してくる可能性が高いのです。
100年以上も前から中国および中国人の特性が変わっていないことは、NASAの長官の警告からもよくわかります。
いずれにせよ、宇宙ですら中国が最大のリスクなのです。
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