麻生太郎の思惑、菅義偉の怨念と「岸田の未練」が激突する
岸田首相は、島根で1勝して、6月の国会会期末に衆議院解散・総選挙に持ち込もうと目論んでいた。
自分の手で解散をして、総選挙で自公過半数を得れば、9月の党総裁選で再選される道が開けるかもしれない。逆に、解散しないまま、いたずらに時が過ぎれば、総裁選への出馬すらできない可能性が高まる。
その補選1勝さえ叶わなかったにもかかわらず、岸田首相はまだ6月解散を諦めていない。だが、党内の大勢は、9月の総裁選で新しいトップにすげ替える方向に傾いている。
立憲民主党が衆院補選で3戦全勝したといっても、共産党が独自候補を立てなかったおかげが大きい。次期衆院選で野党が足並みをそろえる兆しはいまだ見られず、自民党の議員たちは、総裁の顔さえ替われば状況は一変すると高をくくっている。
だから、今のところは静かでも、岸田首相が総裁選の前に解散する素振りを見せれば、ただちにそれを阻止する動きが出てくるだろう。
たとえば、キングメーカー・麻生太郎副総裁。
すでに岸田首相を見限っている。だが、従来方針通り茂木幹事長をポスト岸田に担ぎあげるのも、古臭い自民党のイメージがついてまわるだけに難しい。そこで、上川陽子外相に目をつけ、自分で引き際を決めて上川氏を後継者に選ぶよう首相にアドバイスしていると伝えられている。
非主流派、菅義偉前首相も黙ってはいないだろう。菅氏は2021年4月の衆参三つの補選・再選挙で全敗、地元・横浜市長選でも支援候補が敗れたことから、衆院解散を阻まれ、同年9月の総裁選への出馬を断念した。
無投票での総裁再選を狙っていた菅氏に対抗し、当時の二階幹事長を意識した党役員人事改革案をぶち上げて総裁選に名乗りを上げた岸田氏への怨念は菅氏の中で今もくすぶっているに違いない。









