行方不明の後に遺体で発見。「死亡日」がわからなければ残された家族に遺族年金は支給されないのか

 

2.死亡日がわからない時もある

遺族年金に必ず必要な死亡日はほとんどの場合はわかるものなので、死亡日がわからなくて遺族年金の請求ができないという事は無いだろうと思ってしまうところではありますが、場合によっては死亡日がいつなのかわからないという事が生じます。

それは行方不明になった場合です。

行方不明になってどこにいるのかさっぱりわからないという事はほとんど無い話だろうと考えがちですが、毎年8万人ほどの人が行方不明になっています(実際は14~5万人はいるだろうとも言われています)。よって、毎年毎年結構な人が行方不明になっています。

すぐ見つかればまだしも、何年もわからないというような事もあり、そうなると残された遺族はいつまで経っても遺族年金を請求できないというような事が生じます。

なにせ遺族年金は必ず死亡から始まるので、死亡がわからない以上は遺族年金は請求できません。

では行方不明中はずーっと遺族年金を請求できないのかというと、そうではありません。

行方不明になってから7年が経つと、それ以降は家庭裁判所にて失踪宣告をしてもらい、7年経った日を死亡したとみなす事にしています。

よって、7年経った日が死亡した日とみなされるので、それをもって遺族年金の請求にとりかかる事ができます。

この場合は死亡日は確定されました。

ただし、ここで疑問が生じます。

7年経った日に死亡者と生計維持関係なんて無いぞ!?それに、行方不明中は保険料を納めていない事ももちろんあるでしょう。本人が行方不明になってたのに、その時に生計維持関係があったというのはおかしいからですね。

という事は請求はできないのではないかと。

それは酷なので、この場合は行方不明になった日である7年前の日までの保険料納付状況を見て、行方不明時の生計維持関係を確認します。

このように行方不明の場合の取り扱いが規定されています。

7年も待つのは長いですね(他には7年も待たずに請求可能な、船や航空機の事故や東日本大震災の時のような大災害の時は7年も待たずに、事故が起きた日から3ヶ月経ったら遺族年金請求が可能になる死亡の推定というものがありますが、今回は死亡の推定は省きます)。

行方不明から7年待つというのは普通失踪と言われますが、場合によっては7年も待たずに死体が発見されたりという事があります。

例えば数ヶ月後に死体が発見されたとかですね。

ではこの場合は死亡日はどうなるのか。

死亡日が不明の場合は、以下の死亡日として扱います。

  • 何年何月上旬→その月の10日
  • 何年何月中旬→その月の20日
  • 何年何月下旬→その月の末日
  • 推定何年何月や何年何月不詳→その月の末日
  • 推定何年→その年の年末

なお、死亡年月日不詳とされる場合もあるので、その場合は遺体が発見された年月日が死亡日として扱われます。

なので、上記のどれに当てはまるかで死亡日を確定します。

ところがです。

死亡日を上記のように扱ってくれたのはいいですが、その死亡日時点はしばらく行方不明だったのでそんな時に「生計維持関係があった」というのは変ですよね。

先述した7年経った時は行方不明になった時点の生計維持関係や保険料納付状況を見るよって規定されていますが、7年経つ前に死体が見つかった場合はそのような規定はありません。

よって、通常通り死亡日時点の保険料納付要件や生計維持関係を見ます。

でも死亡時点では生計維持関係なんて無いから遺族年金は出ないのでしょうか。

事例で考えてみましょう。

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