核計画の従事が確定した科学者資源は平壌の金日成大学・金策工業綜合大学、慈江道江界工業大学など主に5つの大学に進学する。報告書は「一度でも特定研究分野で立派な学問的成果を出せば専門家としての運命はすでに決まったこと」とし、「必ずキム政権のための人生を生きなければならず、この時から人生の変数といえるのは勤務場所やそれにともなう住居の品質程度」とされている。
これに伴い、婚姻相手も事実上決定され「選択の自由」がないのに「不満がある人々は処罰を受け各種恩恵が剥奪される」ということだ。多くの対北朝鮮制裁にもかかわらず、外国で勉強する機会も与えられるが、ロシアの合同原子核研究所(JINR)、中国のハルビン工科大学などが代表的な交流機関だ。ハルビン工科大学で学んだ北朝鮮の学生は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック以前には1年に1000人を超えていた。
核科学者としての生活の質は、勤務地がどこかにかかっている。北朝鮮内の核施設は100か所を超えると知られているが、コリンズは「これらのうち40か所程度が今後の非核化過程で必ず言及されなければならない核心施設」と話した。核研究・監督施設15か所、ウラン鉱山8か所、核発電所・精製工場5か所などだ。いわゆる「成分」と呼ばれる出身背景により勤務地が決まることもある。最も険しい地とされる忌避対象は、最北端の咸鏡北道吉州郡豊渓里(ハムギョンプクト・キルジュグン・プンゲリ)一帯だという。06年から17年まで6回の核実験が行われた場所だ。
北朝鮮の原子力関連法に「国家が従事者の安全を保障する」となっているが、飾り物に過ぎず、基本的な安全施設さえ整っていないことが分かった。北朝鮮の原子力工業部などで働いた後、1994年に脱北したキム・デホ氏は「核開発分野の従事者がウランタンクの中に追い込まれ、ウラン粉末・ホコリが無数に漂う空間で呼吸し、殺人的な労働を強要されている」と話した。
報告書には「粉江地区物理専門大学出身100人余りが近隣の寧辺(ヨンビョン)核施設で仕事をして放射能に露出され精神がおかしくなり、家族は不妊・奇形児問題を体験して順に死んでいった」という事例も紹介された。実際に関連分野に従事した脱北民が猛毒性ガスと放射能被害による白血球減少症、肝炎、睾丸炎、腎炎など各種「職業病」を訴える場合が多い。2017年には、豊渓里の核実験場で地下坑道を作る工事中に崩壊事故が発生し、数百人が埋没することもあったという。









