多くの核科学者の経済的事情も容易ではない。金正日政権の時は、彼らが集まって暮らしていた平壌国家科学院前の住居団地が「発酵アパート」と呼ばれたという。生計のために副業までするほど余裕がなかった核科学者たちが自家消費または販売のためにトウモロコシ・どんぐりなどからアルコールを抽出したためだ。
北朝鮮体制の特性上、核科学者に対する党の監視と統制も相当なものだという。報告書は「各研究機関はもちろん核施設ごとに党委員会があり、絶えず科学者たちを監視し忠誠度をテストする構造」とまとめる。それぞれ研究を熱心にしても協業のための交流は徹底的に禁止される。
ある開発者は、研究中の内容を周辺に共有し、家族が皆逮捕されるという事故を経験したという。報告書は「北朝鮮政権がより多くの住民に恩恵が与えられる方式の原子力利用はしておらず、核科学者たちは兵器を作り、核プログラムの人材を教育することしかすることがない」とした。
ただ、キム・ジョンウン政権後、核・ミサイルなど兵器開発過程で失敗を容認する雰囲気が一部形成されたのは事実だとコリンズは明らかにした。北朝鮮は2017年、大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射に成功した後、金正恩が科学者を直接おんぶする写真を公開した。報告書は「1984年から2017年まで北朝鮮指導者が計119回『現場訪問』をしたが、このうち83回は金正恩によるもの」とした。
コリンズは10日、ワシントンDCの対北朝鮮人権団体である北朝鮮人権委員会(HRNK)の行事で、ターナー米国務省北朝鮮人権特使らが出席する中で、今回の報告書の内容を発表する計画だ。在韓米軍出身のデービッド・マクスウェルHRNK理事は「北朝鮮との対話のために人権問題提起を慎まなければならないということは打破しなければならない考え」とし「国際社会、特に韓国と米国は北朝鮮核プログラムの核心要素である科学者たちの人権問題を正面から扱いキム一族に責任を負わせなければならない」と話した。
ロバート・コリンズ
37年間、米国軍人と軍務員として働いた韓半島専門家。経歴の中で31年を在韓米軍に服務し、韓米連合司令部の最高戦略家として4星将軍である連合司令官を補佐し、政治分析と企画などを担当したりもした。李明博政府の時、報国勲章3日章を受けた。 メリーランド大学でアジア歴史学を専攻し、檀国(タングク)大学で北朝鮮政治で修士号を取得した。現在、ワシントンDCの対北朝鮮人権団体である北朝鮮人権委員会(HRNK)の先任顧問として北朝鮮の人権問題に専念している。[朝鮮日報ベース]
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