もちろん、こうした中国からの詐欺は、日本に限りません。英国の『ガーディアン』紙、ドイツの『ディ・ツァイト』紙、フランスの『ル・モンド』紙が共同で行った国際的な調査により、英国の公認取引基準協会(CTSI)が「世界最大級のインターネット詐欺」と呼ぶ、7万6,000の偽サイト開設で80万人の被害者(ほぼ全員が欧米)を出している詐欺の実態が明らかにされました。
調査によると、この詐欺は中国福建省から行われているとされ、「福州中慶網路科技有限公司」という企業が関わっている疑いがあるそうです。
しかも、専門家たちは、この詐欺の主な目的は金銭ではなく、クレジットカードの詳細やその他の機密性の高い個人情報を得ることだと結論づけています。
不思議なことに、詐欺に遭って買い物をしようとした人の多くは、銀行が支払いをブロックしたり、偽ショップが処理をしなかったりして、実際にはお金を失っていないそうですが、その一方で、80万人もの人々がメールアドレスを提供し、そのうちの47万4,000人が、名前、電話番号、住所はもちろん、デビットカードやクレジットカードの情報とセキュリティコードを渡したと推定されています。
そのため専門家は、この詐欺の多くは、組織的犯罪シンジケートの一部が行った深刻な犯罪であり、彼らは、後に一般市民を攻撃するために使用される可能性のあるデータを収集し、消費者がフィッシングに対してより脆弱になるようにしているのだとしています。このような個人のデータベースは、スパイ活動に関心を持つ外国の諜報機関にとって貴重なものである可能性があるといいます。
つまり、中国に個人情報が流出し、スパイ活動に使われる可能性があるということです。日本では金銭的被害が出ている詐欺事件ばかりが話題になっていますが、個人情報を打ち込んでも金銭的被害が出ていないために、見逃されているケースも多いはずです。
そうした個人情報がSNSやメールアドレスの乗っ取りなどに利用される可能性もあるわけです。今後は、金銭被害があるかどうかにかかわらず、個人情報が抜き出されていないかを注意する必要があります。信用が確立していないサイトで買い物しないのはもちろん、さまざまなアンケートなどについても、気軽に書き込むべきではないでしょう。
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※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2024年5月15日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。
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