接触さえ拒否する談話により閉ざされてしまった日朝交渉
メディアは小泉訪朝から20年、ストックホルム合意から10年の節目に日朝交渉を取り上げている。安倍晋三総理が「条件を付けずに日朝首脳会談を」と発言したのは、2019年5月だったから、それからでも5年になる。拉致対策本部ルートが水面下交渉を切り拓いたものの、北朝鮮側は金与正副部長の談話(3月26日)で「日本は新たな朝日関係の第一歩を踏み出す勇気が全くない」「朝日首脳会談は我々の関心事ではない」とし、さらに外相や北京大使による交渉どころか接触さえ拒否する談話によって、日朝交渉は閉ざされてしまった。
ここでいくつかの問題がある。日本政府が拉致問題を重要課題だとしていることは、北朝鮮にとっても前提だ。北朝鮮が「拉致問題は解決済み」と繰り返すことに、林官房長官が「受け入れられない」とコメントすることは当然であって、それはお互いの暗黙の了解だった。ではなぜ金与正談話は出されたのだろうか。そこには北朝鮮の権力構造に変化があるようだ。北朝鮮関係筋による解説を聞くと、日本政府が水面下交渉で約束したことを破ったとする見方ではなく、アメリカ、韓国、日本にどう対応するかという大きな国際的構図での判断があったようだ。(次号に続く)
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