4.政治家の煽動に簡単には乗らない日本人
さて、日本はどうなるのだろうか。
日本は米国の属国であるとか、中国に支配されているとか言われることがある。それほど、日本としての主張が聞こえてこないのも事実だ。
しかし、日本全体が間違った方向に進んでいるわけではない。米国、中国等を見ていると、国のリーダーが間違った方向に進むと、国全体も間違った方向に進む。日本は個人のリーダーに引っ張られているのではない。一人一人は好きな方向に進んでいるように見えるが、群れ全体は天が示す道を進んでいる。これは日本人の特徴でもある「常に相手の気持ちを考えること」に由来しているのではないか。
常に相手の気持ちを推し量っているので、周囲の空気には敏感である。新たな情報が入れば、すぐに収集しようとするし、周囲の人がどのように考えているかも確認する。意見が割れているときには、意見が集約されるまで保留することもある。
こうして集合知が生成されることが日本の特徴かもしれない。
更に、日本人はリーダーのトップダウンより現場の集合知を重視することが多い。総理大臣が何と言おうと、その意見が常識外れであれば、国民はその意見には従わない。無視するだけだ。そして、国民が無視していることを政治家やマスコミも感じ取る。いつのまにか、主張が消えていることも少なくないのだ。
日本の問題は、マスコミや政治家、役人が「大衆は愚かである」と思い込んで、真実を伝えないことだ。問題が明確に設定されれば、日本人の集合知で解決できる。しかし、自分の利益だけを考えて情報を操作されると、解決できるものも解決できない。多くの場合、愚かなのは、マスコミ、政治家、役人の方だ。
日本において、衆愚政治は存在しない。政治家の煽動に簡単には乗らないからだ。例え、間違えることもあっても必ず修正されるだろう。
従って、問題があるのなら、問題を開示すること。問題がないように情報を隠蔽するのが最も罪深い。
その意味で、世界が危機を迎える時代は、日本人が成長する時代でもある。2024年が成長を実感できる年になることを祈りたいと思う。
この記事の著者・坂口昌章さんのメルマガ
image by: Fabio Nodari / Shutterstock.com