中国は大崩壊へ。世界から孤立し輸出産業が打撃を受けた世界第2位の経済大国はどこで道を誤ったのか?

 

3.数百万のドローンによる防衛戦略を構築すべき日本

2022年2月24日に開始したロシアによるウクライナ侵攻は未だ継続している。戦争の状況は刻々と変化し、次第に新しい戦争の形態が見えてきた。

当初、ロシア軍はミサイル攻撃の後、戦車で地上戦に向かった。しかし、何台もの戦車がロケットランチャー、ドローンによる攻撃で破壊された。

また、ロシアの黒海艦隊の旗艦「モスクワ」は、ミサイル攻撃で沈没したという情報もある。

第二次世界大戦で主力として活躍した戦車、軍艦は、その座標がわかれば簡単にミサイル攻撃を受けてしまう。そして、座標は軍事衛星やドローン、地上のセンサー等により計測が可能である。

ロシア・ウクライナ戦争が長期化する中で、兵器のコストも重要な要素となっている。冷戦時代の武器は高額で高性能なものが多く、実戦というより牽制が目的だった。NATOからウクライナに供与された高額で高性能な武器はたちまち弾薬不足に陥っている。

23年2月4日、中国は米国に対し偵察用気球を飛ばし、米軍はF-22戦闘機によるミサイル攻撃で中国から飛来した偵察用気球を撃墜した。

軍事衛星全盛の時代に、中国は旧時代の気球で対抗している。しかし、気球の飛行高度は高く、通常の戦闘機では届かない。最新鋭の戦闘機によるミサイル攻撃は非常にコストが高い。しかし、気球の製造コストは安価である。もしも、数百、数千の気球が飛来した場合、米軍は対抗できるのだろうか。しかも気球は無人で、戦闘機は有人なのだ。

低コストで無人の兵器が主流になれば、戦争の作戦も軍備のあり方も大きく変化するだろう。

22年10月17日、ロシアはイラン製の自爆ドローンで地上の住宅を攻撃している。

一方のウクライナは、23年3月にオーストラリア製の段ボールドローンCorvo PPDSを数百機を受けとっている。Corvo PPDSは安価で、フラットパックで提供され、1時間で組み立てが可能だ。

更に、23年8月ウクライナ海軍は、無人潜水艇(UUV)のプロトタイプ「マリーチカ」を公開した。マリーチカは全長約5.5mの魚雷のような無人艇(ドローン)で、数百kgの爆薬を積んで1,000km近く航続し、ロシアの軍艦の最も脆弱な部分を攻撃できるという。

ウクライナにとって、今回の戦争は防衛戦であり、主戦場は国内だ。従って、航続距離が短く安価なドローンの活用が可能である。しかし、自国から離れた地域への侵略戦争の場合、航続距離の長い船舶や航空機、長距離ミサイルが必要となる。これらの兵器は高コストだ。

今後の戦争は低コストで大量生産可能なドローンが主力になるだろう。

高性能のセンサー、カメラ、半導体を搭載した防衛用ドローンの大量生産は、日本の得意分野である。数百万のドローンによる防衛戦略を構築してほしいと思う。

この記事の著者・坂口昌章さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • 中国は大崩壊へ。世界から孤立し輸出産業が打撃を受けた世界第2位の経済大国はどこで道を誤ったのか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け