「日本に沖縄の主権はない」中国で話題の沖縄“奪還”投稿をほとんど報じぬ日本メディアの怪

 

沖縄に形成されつつある中国人コミュニティ

中国や台湾が尖閣の領有権を唱えるようになったのは、1968年秋に行われた国連機関による調査の結果、東シナ海に石油埋蔵の可能性があるとの指摘を受けて尖閣諸島に注目が集まってからです。

そしてこの中国の主張に対して、日本はあまりに弱腰で、基本的に尖閣諸島への上陸や周辺地域での日本人漁師による漁業を実質的に禁止しました。海上保安庁は、尖閣に近づく日本漁船を追い払い、中国公船に対してはアリバイ作り的に退去を呼びかけるだけの状態が続いています。

「だらだら感」漂う尖閣の今 葛城奈海

加えて、尖閣諸島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内に中国が設置したブイも、昨年7月に発見されてから約11カ月が経過しようとしていますが、日本側は撤去も破壊もせずに放置したままにしています。

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こうした日本の危機感のなさ、事なかれ主義を見た中国が、さらに踏み込んで、いよいよ沖縄の日本帰属に疑義を表に出してこようとしていると見るべきでしょう。華春瑩氏はその尖兵として、中国政府から期待されているということでもあります。

実際、沖縄の帰属問題については、2013年に中国共産党の機関紙、人民日報が「未解決の問題」だ等とする論文を掲載、当時の菅官房長官が「論文が中国政府の立場であるなら断固として受け入れられない」と抗議したものの、華春瑩報道官は「抗議は受け入れられない」と反発、沖縄が日本に帰属すると述べることを拒んだことがあります。

新たな対立の火種に 沖縄帰属めぐる人民日報論文

近年、多くの中国人学者が「琉球主権未確定説」を唱えるようになっており、昨年6月の人民日報では、故宮を訪問した習近平国家主席が琉球王国と中国福建省との歴史的関係に言及したことを一面トップで報じています。

習氏、「琉球」に異例の言及 台湾絡み日本を揺さぶり

このときは、沖縄県の玉城デニー知事が訪中する直前であり、わざわざそのタイミングを狙って発言したわけで、沖縄を日本から分断させ、中国に引き寄せようという意図があったと言われています。

今後、中国が沖縄を巡る歴史戦、情報戦に拍車をかけてくるのは間違いないでしょう。世論操作、選挙介入などにも警戒する必要があります。とりわけ、中国経済が停滞していることもあり、「沖縄は日本に盗まれた」と中国人の憎しみを煽り、国内の不満を外に向けさせてくる可能性もあります。

現在、中国から脱出し、他国へ移住する中国人が増えています。一方では習近平政権の国内統制に嫌気が指した富裕層が続々と海外脱出しているとされていますが、その一方で、他国住民との摩擦が増大するのみならず、そうした脱出組に紛れたスパイによる他国の政治への浸透工作も懸念されています。沖縄でも糸満市には中国人コミュニティが形成されつつあり、街の風景が変わりつつあると言われています。

中国脱出する富裕層やミドルクラス-移民で世界の風景一変、緊張も

国の安全保障について、これまで日本はあまりにも甘すぎました。スパイ防止法も含めて、さらなる対策強化は不可欠です。

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