インド政府を激怒させ、中国から痛烈な皮肉を浴びた米国。長期的な「全体構想」なき国際情勢の行方

 

「もうちょっかいをかけるな」。中国が描いているグランドデザイン

そのロシアとは不可分とされ、ロシアの敗北は自国を危険なまでに孤立させるリスクを認識する中国はどのようなグランドデザインを描いているのでしょうか?

ウクライナ戦争については、正直なところあまり関心がなく介入する気は毛頭ないようですが、ロシアが世界を敵に回し、それが自国の孤立につながることが明確になっている中国にとっては、ロシアと中国は不可分な相互依存に基づく強い結束で結ばれる“友好国”という認識のようです。

ただ中国のあらゆる人たちと話しても、世界的なグランドデザインを掲げることを考えているわけではなく、【自国の体制と経済の安定化と自立性の確保】、そして【中国の国土の保全と不可侵の保障のための十分な軍事力の保持】がグランドデザインとして存在していて、周辺国への侵攻などは考えていないということです。

もちろんここには台湾という例外が含まれますが、北京の意識では、【蒋介石とその仲間たち(国民党)が共産党軍に追われ台湾にわたったが、そこにいた先住民を皆殺しにして台湾を占領し、対北京の抵抗の拠点とした“だけ”で、今の台湾人はつまり中国人であるから、何を争っているのかが理解できない】というものとのことです(あまり公には言えないけど、それが本心だとのこと)。

正しいかどうかは別として、習近平国家主席が掲げる【台湾の統一は中国にとっては核心的な関心】というのは、北京的には【習近平国家主席の下で中国全土の統治をおこなう“だけ”のことであり、中国の安定のためには、いかなる反乱分子(それは台湾やウイグルを含む)の存在を許すことはできない】という考えが、グランドデザインの基盤に存在するようです。

特にアメリカや日本と事を構える気はなく、あくまでも中国の安定のみに関心があるとのことですが、言い換えると「もう中国にちょっかいをかけないでね」ということでしょうか。すべての政策と外交方針、安全保障政策はその考えをベースに作られている、ということのようです。

ではここで一気に目を中東に向けてみたいと思います――(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2024年5月31日号より一部抜粋。続きをお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録の上、5月分のバックナンバーをお求め下さい)

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