中国は困っていました。アメリカ政府が、「ソ連の次は中国だ!」となったら困る。そして、中国は、アメリカの技術と金を、ものすごく必要としていた。
全国民必読の名著『China 2049』では、アメリカ国防総省の顧問ピルズベリーさんが、起こったことを詳しく書いてくださっています。
困った中国は、クリントン政権内に「親中グループ」を作りました。その中心人物は、ゴールドマン・サックスの共同会長で、後に財務長官になるロバート・ルービンだった。
「親中グループ」は、クリントン政権の対中政策を、「反中」から「親中」に転換させることに成功しました。これを中国は、「クリントンクーデター」と呼ぶそうです。
一方中国は、日本への工作もしていました。天安門事件後、中国は、アメリカ、欧州、日本に封じ込められている。中国は、「米欧日の中で、もっともナイーブで、お人好しで、御しやすいのは日本だ」と極めて正確な分析をしていました。そして、熱心に「日中関係を改善したい!」というシグナルを送るようになったのです。
当時も変わらず「平和ボケ」していた日本の政治家さんたちは、中国のずるがしこい作戦に気づきませんでした。で、どうしたか?日本政府は1992年、天皇陛下訪中を決めたのです。
これを見た欧米は、どう考えたか?「狡猾なジャップが、巨大な中国市場を独占するつもりだ!」と思った。それで、欧米も「日本に負けじ!」と中国に進出するようになり、天安門後の中国包囲網は崩れてしまったのです。
日本政府、実に愚かでした。しかし、もっとひどいのはその後です。1993年に国家主席に就任した江沢民は、
- 中国国内では反日教育を開始
- 全世界、特に欧米で反日プロパガンダ開始
したのです。なぜでしょうか?天安門事件後、「世界一の巨悪」は中国でした。中国は、「天皇陛下訪中」と「クリントンクーデター」で、この危機をなんとか乗り切った。その後、「南京大虐殺」や「従軍慰安婦問題」を盛り上げ「日本悪魔化プロパガンダ」を強力に推し進めることで、中国を相対善にしたのです。そして、この作戦は、大成功しました。
中国は、天安門事件後の苦境を日本に救われた。しかし、今度は、日本を悪魔化し、まさに「恩を仇で返した」のです。このエピソード、私たち日本人は、決して忘れてはならないでしょう。
35年前、中国天安門広場で、自由と民主主義を求める人たちが、大虐殺されました。その時代から現在にいたるまで、中国では同じ体制が続いているのです。
私たちは、中国との戦争を望みません。しかし、中国指導者たちの本質を決して忘れてはいけないのです。
(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2024年6月4日号より一部抜粋)
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