分断を極める国際情勢では実現が困難な協調体制の回復
そして今、非常に辛辣にイスラエルのネタニエフ首相を非難することで、反イスラエル・反ネタニエフ首相の急先鋒の一人と認識されていますが、実際にはイスラエル政府とは親密な関係を有し、ネタニエフ首相の対抗馬であるガンツ氏とは親交を深めて、ポスト・ネタニエフ首相のイスラエルに対する影響力の確保にも勤しんでいるようです。
エルドアン大統領は、首相時代には“アラブの父”という異名も取っており、アラブ諸国からは一目置かれ、アラブの揉め事の仲介役としての立ち位置を確立していますが、それは大統領になってからも継続しているため、現在のイスラエルとハマスの戦いが終わり、ネタニエフ首相の政治生命が断たれた後は、広域中東アラブ地域の再建に、必ず絡んでくるものと思われます。
エルドアン大統領自身は次回の選挙には出ないと公言されているため、自身が大統領の座にいる間に基盤を確立するために、ネタニエフ首相が企む戦争の長期化を阻みたいと考えて行動しているように見えます。
では最後に国際社会が描く混乱の時代のEnd Gameはどのようなものなのでしょうか?
正直申し上げると、私には分かりません。
恐らく国際社会を形成するすべての国が納得するようなプランは存在せず、それぞれの国益と利害を持ち寄り、デリケートなバランスの上に成り立つ協調体制の回復というのが、希望的観測も含め、目指される姿かなと考えます。
しかし、すでに分断を極めている国際情勢においてはその実現は難しく、もしかしたらEnd gameではなく、帰結する姿は【力あるものが他を制する無秩序な国際秩序】というものになってしまうのかもしれません。
以上、今週の国際情勢の裏側のコラムでした。
(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2024年6月7号より一部抜粋。続きをお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録下さい)
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