問題は岸田首相の能力や人格ではない。トランプ“返り咲き”で日米関係は悪化する可能性大

 

トランプが勝ったら日米関係はどうなる?

さて、トランプさんが勝ったら、日米関係はどうなるのでしょうか?

ちなみに、バイデンさんが大統領に就任した時、日本では、「親中反日の大統領が誕生した!大変だ、大変だ!」と騒いでいました。一方私は当時、「バイデンさんは確かに親中反日だが、日米関係はトランプ時代よりむしろよくなる」と主張していました。当時の動画、たとえばこちらを確認してください。

「尖閣はアメリカが守る!」中国はもってあと3年?知られざるアメリカの大戦略とは?

現在まで、バイデンは日本に非常に優しく、日米関係はずっと良好です。それでしばらくすると、「北野さんの言う通りになりましたね!」と、たくさんメールをいただくようになりました。

では、今回トランプさんが返り咲いたら、日米関係はどうなるのでしょうか?私は、「厳しくなるだろう」と考えています。なぜでしょうか?安倍さんがいないからです。安倍さんがいないと、なぜ日米関係は悪くなるのでしょうか?

安倍さんは、トランプやプーチンと仲良しだったので、「猛獣使い」と呼ばれていました。岸田さんは「猛獣使いではない」から、日米関係は悪くなるのでしょうか?いえ、岸田さんの能力や人格は関係ありません。ポイントは、プーチンとの関係にあります。

安倍さんは2012年12月、総理に返り咲いた後、プーチンと仲よくしようと、がんばってきました。その言動は、「北方領土返還を実現したい」こと以上に、「ロシアを中国包囲網に引き入れることができれば、必勝じゃないか」という、リアリスト的大戦略に基づいていたのです。

安倍さんとプーチンは、仲がいい。トランプさんが大統領になったのは2017年です。とてもユニークなトランプさんは、安倍さん以外の西側諸国のリーダーとは、仲良くなれませんでした。トランプが仲良しだったのは、安倍さん、プーチン、金正恩です。

ところで、トランプは、なぜ安倍さんと仲良しだったのでしょうか?安倍さんが、トランプ勝利後真っ先に会いに来たから?ゴルフという共通の趣味があったから?中国という共通の敵があったから?どれも「その通り」だと思います。

しかし、私が考える、最大の理由は、「安倍さんとプーチンの仲が良かったから」です。安倍さんとプーチンが仲良しだったので、トランプも安倍さんと仲良くしたのです。

なぜ?皆さん気づいていないかもしれませんが、トランプの主張は、「プーチンに都合がいいことばかり」です。たとえば、トランプは、ウクライナ支援に消極的。これ、アメリカファースト的にいえば、「アメリカ国民のお金をウクライナにつかうのは無駄だ」ということでしょう。しかし、プーチンから見ると、「トランプありがとう」です。

また、トランプは、NATO加盟国が防衛費をさらに増やさなければ、守らないと発言し、世界を驚かせました。「ロイター」3月20日。「トランプ氏、NATO防衛せずと再表明 『公平な負担なければ』」。

トランプ前米大統領は、欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟国が防衛費をさらに負担しない限り、米国はロシアによる将来の攻撃からNATO加盟国を防衛しないと改めて述べた。

トランプ氏は先月、サウスカロライナ州で開かれた選挙集会で、過去に会談したNATOの主要加盟国の首脳から、もし同国が拠出金を払わず、かつロシアから攻撃を受けた場合に、米国が防衛してくれるかとの質問をされ、「私はあなた(の国)を防衛しない。逆に、彼らに好きなようにするよう伝えるだろう。拠出金は払わなければならない」と回答した。

これ、「アメリカ・ファースト」的に考えると、「なぜアメリカが、金を払わない国を守る必要があるのか?」ということでしょう。しかし、トランプ発言でNATOが分断されるのを一番喜んでいるのは、プーチンでしょう。

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