──そのお金でどうやって生活をしますか。
「そのため、北朝鮮の海外派遣者が不法商売をしていると、全世界的にメディアに報じられたのではないでしょうか。違法な商売をする最も基本的な理由は外交官の収入が低すぎて生活できないからです。
海外で一銭二銭集めて北朝鮮に行く時に持っていきます。キューバ駐在の北韓外交官は外交特権を利用して1人当たりの外交袋に150~200箱程度の葉巻を入れて中国に送っています。こうして出てくる純利益は1回当たり1万5000~2万ドルです。キューバは葉巻の商売がうまくいっているのでこれを通じた利潤だけでも結構大きいんです。新型コロナウイルス感染症の時期、不法葉巻の商売はしばらく止まっていましたが、最近航空機の運航が再開され、大々的に葉巻の商売を再びしています」
──商売ができなかったらどうするんでしょう。
「2019年2月、外務省国際機構局軍縮担当課長がスパイ容疑で公開処刑されました。スイスを専門に行き来する人だったけど、スイスの場合、不法商売ができないところなのでお金があるはずがありません。ところが、お金を湯水のように使っているようなので変に思って(当局が)調査したんです。
2019年にリ・ヨンホ外相の粛清につながった駐中大使館書記官の横領事件の場合、飛行機のチケット購入を担当した書記官が北韓から渡すお金を受け取り、大使館前の中国旅行会社で例えば500ドルのチケットを買い、領収書は1000ドルに切り、自分のポケットに500ドルを入れました。保衛部要員の場合、副収入が必要なので賄賂で充当する要員が少なくありません」
──給与だけでは生きられませんか。
「北朝鮮社会の最も脆弱な側面が、労働に対する合理的で正当な報酬がないことです。対外経済省など貿易単位の派遣者は年2万~5万ドル程度の忠誠資金納付課題もあります。
金正恩第1書記が、海外派遣者の不法行為の記事に負担を感じ、「党の対外的権威をけなす行為だ」として、強く取り締まるよう指示したことがあります。しかし、納付課題は無条件に遂行しろというのだから、派遣機関は皮肉にも「手段と方法を選ばずに注意しつつなんでもやれ」というような指示を出しています」
──核・ミサイル試験はどうでしたか。
「初期には核・ミサイル試験の成功発表が出れば、誇りや自負心のようなものを感じました。しかし核・ミサイルに莫大な資金が投下されると人々が知る瞬間から拒否感を感じ始めました。
金正恩政権はアメリカの侵略に備えるという荒唐無稽な名分で、核ミサイル開発に数億万を使い果たしました。国の経済を荒廃させ、2500万の国民を現代版奴隷に転落させました。お年寄りの方は「日帝の時もこんなに大変ではなかった」と言いました。こんなに大変で買うものも買えない制度を私たちが守って何をするのですか。政権も民心がすでに自分たちを離れていることをあまりにもよく知っているので、恐怖政治の度合いを高めているのです」









