北朝鮮から亡命した元参事官は「金正恩の娘キム・ジュエ」を後継者とみているのか?

Pyongyang,,North,Korea,–,March,26,,2008,:,Young,Couple
 

前回の記事でも紹介した、李日圭元駐キューバ北朝鮮大使館政治参事へのインタビュー。その内容をさらに無料メルマガ『キムチパワー』の著者で韓国在住歴30年を超え教育関係の仕事に従事している日本人著者が、詳しく紹介しています。

金正恩が「反統一」を打ち出した理由

キューバ駐在北朝鮮大使館で勤務していた李日圭氏のインタビュー記事の第2弾。(こちらのほうが先のものでした)。

ソウルのあるホテルで朝鮮日報のインタビューに応じた李日圭(イ・イルギュ、52)元キューバ駐在北朝鮮大使館参事は、物静かで穏やかな印象。平壌の方言がなかったら、わずか8か月前に死線を越えて亡命してきた北朝鮮官僚だという事実に気づきにくいほどだった。しかし、北韓の金正恩国務委員長の「反統一2国家政策」を「民族の魂を抹殺する行為」と批判するときは断固とした顔つきだった。

──なぜ脱北を考えたのですか。

「直接的なきっかけは努力に対する不平等な評価、それに対する挫折感と怒りでした。北韓外務省は権勢のある家柄の子どもたちが集まっています。私の出身成分、社会成分は「事務」で「労働者」や「軍人」に比べて良くない。最下位の職級に入職し、誠実に努力してきました。

ところが、2019年8月にキューバに北韓のレストランを出すために平壌に行くと、外務省代表副指導課副局長が少なくない賄賂を要求しました。資金の余裕が足りなくて「後で会おう」というふうに延ばしたら恨みを抱いてしまったらしく私を召還しようと試みた。」

──それで決心したんですか。

「そんな中、昨年、私が頚椎損傷による神経損傷症を患い、メキシコに行って治療を受けられるようにしてほしいと外務省に提起(要請)した。キューバは制裁を受け、医療機器がないからです。24時間も経たないうちに許可しない」という電報が送られた。その時激怒し、『北朝鮮を離れようとする私の考えは正しかった』と確信しました。『金正恩表彰状』を居間にかけておいた両親、義父・義母がすべて亡くなったことも決心に一役買った」

──脱北をどう計画しましたか。

「2023年7月中旬から脱北を深刻に悩み、11月初めに実行しました。その3か月余りで7キロ痩せました。『米のごはんが砂を噛んでいるようだった」ということを実体験しました。飛行機のチケットまで買っておいて、脱北6時間前に妻と子供を呼び出して決心を知らせた。『韓国』とは言わず、『外国に出て暮らそう』と言いました。」

──北朝鮮はパスポートをすべて大使館に保管させますが、飛行機にどのように乗ったのですか。

「具体的に説明すれば、北韓当局がそのやり方を事前に遮断するでしょう。私の後を継いで脱出しようとする方々の被害になる可能性があって言えません。(キューバ)空港の搭乗口の前で搭乗を待っていた1時間が、数年に匹敵しました。初めて家族の加護を神様に祈り、また祈りました。なぜ人間が宗教を信じるのか痛感しました。」

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