中ロではなく日韓に向けられる北朝鮮の怒りの矛先
先日、プーチン大統領が北朝鮮を訪問した際に、ロシアと北朝鮮の間で有事の際に相互に支援する同盟国的な条約が締結されましたが、その取り決めに準ずるとロシアは中国と対峙しなくてはならなくなりますが、実際には本格的な戦闘には至らず、形式上どこかに攻撃をすることで約束を果たしたことにし、中国との間での緊張状態を可能な限り作らずに済ませようとすると思われます。
ロシアにとって中国は大事なパートナーであり、中国にとってもロシアと密接な関係を維持しておくことは、互いの存続のためには必須ですし、欧米諸国に対して共同戦線をはるためにはロシア・中国間の絆は必須となります。
そして一見、ロシアに約束を破られたように感じる北朝鮮の怒りの矛先は、日韓に向く可能性が高まり、何らかの軍事行動に出る可能性は否定できません。
これはあくまでも想像の域を出ませんが、その際、北朝鮮が何らかの核攻撃を行うことを選択した場合、ロシアにとってのウクライナと同じく、韓国に対する核攻撃は避け、代わりに日本に対して核攻撃を仕掛けるかもしれないという非常に危ないシナリオもあり得るかもしれません。
そんな事態になると、アメリカは核兵器を用いた手段を含む形で報復する必要が安保条約上発生しますが、このような状況になった場合には、もう誰も止めることが出来ないドミノが生じることになってしまい、他の戦争を誘発することになるでしょう。
そのような地獄のドミノを起こさせないために、日米間で核兵器の拡大抑止に向けた協議が始まっていくのだと理解していますが、これが冒頭でご紹介した専門家の解釈に繋がります。
どこまで戦略的に考えているかは分かりませんが、ロシア政府も中国政府もこのようなシナリオは十分に想定しており、実際には有事の際に有効に反撃・報復に移れない欧米諸国とその仲間たちのジレンマを読みきって、勢力圏の拡大に勤しんでいるように見えます。
今週、非常に驚いたニュースが中国による仲介でハマスとファタハ、そして14のパレスチナのグループがunited forceとして連携し、One Palestineとして振舞うという合意が成立しました。
(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2024年7月26号より一部抜粋。続きをお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録下さい)
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