うなぎ弁当集団食中毒で「洗い物キャンセル界隈」に広がる動揺。食器や鍋なぜ洗わず再利用?真夏のズボラ思わぬリスクも

2024.08.01
by 東山ドレミ
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黄色ブドウ球菌が原因で発生した「うなぎ弁当」の集団食中毒事件が、「洗い物キャンセル界隈」の注目を集めている。自炊で使った調理器具や食器をかたくなに洗おうとせず半永久的に使い回す人たち。彼らの不安とは?

“殺人うなぎ弁当”の原因は黄色ブドウ球菌

うなぎ料理店の「日本橋 伊勢定」が、横浜市の京急百貨店で先月24~25日にかけて販売した「うなぎ弁当」や「うなぎ蒲焼」による集団食中毒事件。

商品は計1761個が販売され、嘔吐や下痢など体調不良を訴える人は31日時点で161人に。うなぎとの因果関係は不明ながら、90代の女性1人が病院搬送後に死亡する騒動となっている。

保健所の検査では「黄色ブドウ球菌」を検出。同店の発表によると、商品製造時に一部の作業者が手袋を着用していなかったとされており、作業者の手から商品に菌が付着したとみられている。

加熱では防げない…だと!?「洗い物キャンセル界隈」で高まる警戒感

黄色ブドウ球菌は、健康な人の皮膚や粘膜からも高率で検出される、自然界に広く分布する細菌だ。通常では問題になりにくいが、食品が菌に汚染されて数が増えると毒素(エンテロトキシン)がつくられ、これが食中毒の原因になる。

夏場は特に食中毒が発生しやすく、おにぎりやサンドイッチなど素手で調理することが多い「作り置きメニュー」は注意が必要とされているのだが、今回の「うなぎ集団食中毒事件」では、「洗い物キャンセル界隈」にも少なからぬ動揺が広がっているという。

そもそも「洗い物キャンセル界隈」とは聞き慣れないワードだ。一体どういうものなのか?ネットメディア編集デスクが説明する。

「最近のネットでは、ある嗜好や属性を持った集団を『●●界隈』と呼称することがよくあります。そんな中で、自宅での自炊に使った鍋やフライパン、食事に使った食器類などをきちんと洗わず、えんえんと使い回す不衛生な人々が『洗い物キャンセル界隈』と一部で呼ばれています。要は極度のズボラ、面倒臭がり屋にあたるわけですが、今回の集団食中毒に敏感に反応している人がチラホラ見受けられますね。黄色ブドウ球菌を原因とする食中毒は加熱だけでは防げない、ということが広く報じられ、それが“衝撃的事実”として受け止められているようです」(ネットメディア編集デスク)

食中毒防止というと「とりあえず加熱しておけば大丈夫」という漠然としたイメージを持っている人は多いだろう。だが、政府広報オンラインの「食中毒予防の原則と6つのポイント」などによれば、黄色ブドウ球菌自体は加熱殺菌できても、作られてしまった毒素(エンテロトキシン)は熱にも乾燥にも強く、通常の加熱では無毒化できないとされる。

《作り置きのうなぎ弁当と、洗わずに繰り返し使ってる食器、どっちがヤバいんだろ》

《前日の料理のソースとか肉片、野菜片とか洗い流さずに次の日そのまま料理盛ってるわ。これ半分作り置きだろ…》

《熱々の茹でたてパスタを皿に盛り付けて消毒完了!とか思ってたが、実はオレ死ぬのか》

《洗い物キャンセル界隈だけど夏場だけは鍋洗おうかな。でも冷蔵庫保管なら夏でもイケるか?》

うなぎ集団食中毒をうけて、ネットでは上記のような“反省の弁”も見られる。夏だけと言わず、毎日きちんと洗ったほうが安心できそうなものだが――

「洗い物キャンセル界隈は、歯磨きキャンセル界隈風呂キャンセル界隈との親和性が高く“兼業”も多いようで、大変気がかりです。食器は洗わない、歯は磨かない、風呂は入らない…となると、手指の汚染が“リセット”される機会が生活から失われてしまいます。夏場は特に危険ではないでしょうか」(前同)

ネット上の勢力としては、入浴を面倒くさがり、極力忌避しようとする「風呂キャンセル界隈」のほうが、「洗い物キャンセル界隈」よりもメジャーだというのだから驚かされる。

いずれにせよ、食中毒の原因は黄色ブドウ球菌だけではない。セレウス菌(チャーハン等)やウエルシュ菌(カレー等)など、加熱では防ぎにくいものも多いという。各地で気温40度の声が聞かれる2024年、せめて夏の間だけでもしっかりと食器を洗い、お風呂に入り、心身の清潔を保ったほうがよさそうだ。

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