連立の可能性~総理大臣の椅子に一番近いのは玉木雄一郎か
そこで出てくるのが、連立政権です。まず、自民党の新総理が10月に解散したとして、自公で衆院(定数465)の過半数を割ったとします。まず「負け方が少ない」場合には、国民民主党(現在衆院7議席)、それでも足りない場合は前原G(現在衆院4議席)辺りとの連立になると思います。
そうなると、村山政権の組成と同様のディールとなって玉木首班という可能性が濃厚です。といいますか、次回総選挙後に総理大臣の椅子に一番近いのは、玉木雄一郎だという考え方はテクニカルに成立します。
ただし、前述した東京維新が逃げ出してくると、国民より議席数が多くなる可能性があるので、音喜多首班などという事態もあるかもしれませんが、音喜多だと自公サイドに抵抗があるかもしれません。いずれにしても、自公プラス保守系の連立ということでは、自公の負け方が少ない場合は色々なバリエーションがあると思います。
しかし、別のストーリーも考慮しなくてはなりません。それは、自民が大敗、維新も万博でケチをつけて伸びない、そんな中で立憲が枝野もしくは野田復帰(9月15日の代表選挙次第ですが)で意外と議席を伸ばすというケースです。
まず、共産党との連立はさすがに成立しません。立憲の左派と共産で過半数を取らない限りはないからです。ですが、立憲と国民民主だけでなく、公明が自公連立から離れることは十分にあり、そうなると枝野(または野田)内閣という可能性もゼロではありません。ただ、可能性としては少なそうです。
自民党の派閥はどうなる~総選挙後に復活も
今回の総裁選は派閥が「ないことになっている」中で、ある程度はガチンコの戦いになるのだと思います。ですが、組織に派閥はつきもので、例えば立憲に関しては、旧民主党の時代から、いや社会党の時代からイデオロギー別の派閥というものがありました。
自民党もイデオロギー別の派閥にしたらいいという考え方もあるのですが、今に至るまでこれは成立していません。というのは、長老の指導力、集金力、各自の選挙区事情といったテクニカルな要因のほうが、政策やイデオロギーに優先するという構造があったからです。
議院内閣制というのは、議員を通じて民意を反映させる二重の間接民主制ですが、同時に議員という物理的な存在の集合離散が総理総裁を作るという構造はどこまで行ってもついて回ります。
ですから、今回の「異例な総裁選」のあとは、何らかの形で派閥的なものが復活してゆくのだと思います。それがどのような形になるのかは、今回の総裁選ではまだ浮上してこないのだと思いますが、次回の総選挙後には様々な動きが出てくるのだと思います。