現役小学校教師が「不親切こそ親切だ」と語る“本当の意味”

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親切がかえって人をダメにし、むしろ不親切こそが本当の親切だ、という考え方があります。メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』の著者で現役小学校教師の松尾英明さんは、『偽物の親切』というものを以前から批判。偽物とはどういった意味なのか、本当の親切とは何なのかということについて語っています。

不親切こそ親切

先日、『不親切教師のススメ』をテーマにオンライン講座を行った。

冒頭に掲げた大前提が

親切は最高の美徳

という言葉である。

この本も、ここを押さえた上で読んでもらう必要がある。

どういうことか。

『不親切教師のススメ』で批判している偽物の「親切」とは次の2パターンである。

A 自分の利益を考えて相手に親切なように振る舞うこと

B 心から親切にしているつもりだが、相手にとって不利益を与えているもの

ちなみにAには「親切ごかし」という、れっきとした日本語がある。嫌われないように何かをしてあげたり、おべっかを使ったりするのもこれである。

例えば次のようなものは、全て親切ごかしである。

・夏休み、周りのみんなも買ってくるから仕方ないという理由で、旅行先でお土産を買ってきて笑顔で配った

・後で陰で文句を言われるのを避けるために、保護者の無理な要求を笑顔でのんだ

・周りの人がやっているからという理由で、面倒だけどせっせと年賀状を書いている

・行きたくない飲み会にも、付き合いが悪いやつだと思われたくないから参加している

どれも、保身のためにいい顔をしているというのが特徴である。実に下らないが、下らないことをやっているという自覚症状があるのは救いである。

次にBのパターンの「親切」である。本にも書いた例をいくつか挙げる。

・4月、靴箱やロッカーのシール貼りや、習字の掲示をしてあげる

・ドリルの〇つけを全部やってあげている

・さぼりがちな子に「勉強しなさい」と言う

・転んでケガをしたりぶつかったりしたら、すぐに駆け寄って心配してあげる

どれも、人によっては「一体何が悪いのか」と思うものばかりかもしれない。そこにBパターンの「親切」の恐ろしさがある。

本物の親切には、長期的な視点が必要である。それをしたら、続けたら、相手はどうなるのか。他者依存で他責的で、人が何々してくれないと文句ばかり言う人間に育つ可能性が高まる。恐ろしいことである。

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