制服や作業服に着替える職場では、その着替え時間は労働時間にあたるのでしょうか? 時々問題となるそのお話について、無料メルマガ『採用から退社まで!正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』の著者で社会保険労務士の飯田弘和さんが解説しています。
制服・作業服への着替え時間は労働時間になるか?
制服などへの着替えの時間が労働時間になるのかどうか、時々問題となる論点です。
労働時間とは、事業主の指揮監督下にある時間とされています。そのため、制服への着替えが事業主から義務付けられ、着替える場所も指定されているような場合、着替えの時間は事業主の指揮監督下にあり、労働時間に該当すると考えられます。そうであれば、制服の着用は義務付けられていても、自宅から着てくることが許されているような場合は、着替える場所を指定しているとはいえず、着替えの時間は労働時間に該当しないことになります。そのような場合には、たとえ事業所内の更衣室などで着替えた場合であっても、その着替えの時間は労働時間には該当せず、あくまで、更衣室は労働者への便宜上、使用することができるに過ぎないということになります。
そこで問題となるのが、このような場合には、制服の支給が、労働者への特別利益として所得税等の課税の対象になる可能性があるということです。
以下は、国税庁の質疑応答事例に掲載されているものの要旨となります。
制服・事務服・作業服等の支給が非課税とされるためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
1. 専ら勤務する場所において通常の職務を行う上で着用するもので、私用には着用しない又は着用できないものであること。
2. 制服・事務服・作業服等の支給または貸与が、その職場に属する者の全員または一定の仕事に従事する者の全員を対象として行われるものであること。
3. それを着用する者が、それにより一見して特定の職員または特定雇用主の従業員であることが判別できること。
上記の考え方からすると、自宅から着用して出勤することが許されている制服では、私用に着用できるとして、その制服の支給または貸与に対し、所得税がかかってくる可能性があります。また、背広・スーツなどの支給は、私用が可能ですから、給与等として所得税がかかります。
以上、今回は何だかスッキリしない、モヤっとしたお話となりました。
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