なぜ、このタイミングで改装?IKEA渋谷店が見せつけた「プレゼン力」の正体

 

★IKEAだけが持つ、2つの魅力

まずは、商品1つ1つの魅力。

プレゼン的にいうならば、「商品というファクト」が持つ魅力である。

IKEA商品は、どんな小物であっても、99円のものであっても、美しい色とデザイン性が高い。

たとえキッチンバサミであっても使わずに飾っておくだけで絵になってしまう美しさがある。

そんな、1つ1つが魅力的な商品を複数お部屋に取り入れたならば!

それはもう、お家全体が楽しくなる。

IKEA商品の魅力はここにある。

そして、IKEAは、その魅力を、ショールームというパッケージで見せてくれる。

しかし、よく考えれば、ショールーム的な商品プレゼンは日本の家具屋さんでも当たり前にやってきたことだ。

しかし、IKEAが示すプレゼン力は、日本の既存家具店とは、ちがうのだ。

何がちがうって、そのプレゼン力が「圧倒的」であること。

プレゼン力の何が圧倒的なのか?

それは「憧れ」を抱かせると同時に商品1つ1つ、あるいは複数存在した際、消費者の「共感」を強烈に呼び起こす力が強く、グレードが高いのだ。

そもそも憧れというのは、手が届きにくいもの。

しかしIKEAの商品価格は安価で、店舗は誰にでも開かれたオープンな雰囲気。

美しいデザインの商品をいくつか取り入れれば、まるでIKEAショールームのように素敵な憧れの住まいが手に入る。

そんな気持ちにさせるのが、とても巧みである。

IKEAは、憧れを抱きながらも容易に「自分ごと化」できてしまう、あなたのためのお店です、とプレゼンすることに成功しているのだ。

このことを別の角度から分析すると、さらにIKEAの凄さがわかる。

IKEA商品は商品1つ1つが他とは違い、個性があって機能的で目新しい。

よって、その魅力が瞬時に伝わるという圧倒的強みがある。

そして同時に、その商品を使うと生活がどんなふうに変わるか?商品がもたらす消費者ベネフィットを瞬時に想像させることに、非常に長けている。

その秘訣は、商品力の高さに加えて、商品の並べ方、見せ方、といったいわばショールームにおけるプレゼンが巧みなのである。

これはIKEA大型店に実際に行って、見てみればわかる。

ショールームを見るだけで、IKEA商品がお客様にもたらすだろう「素敵な私だけのストーリー」も瞬時に伝えてくるのだ。

よって「IKEA商品を手に入れれば、私の生活は変わる!」と直感的に強く感じさせることができるのだ。

この記事の著者・森裕喜子さんのメルマガ

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