ディズニー死亡訴訟など日常茶飯事。どの事例も「ハァ?」としか言いようのないトンデモ訴訟大国アメリカの病巣

 

アメリカ人に日本の文化をわからせてしまう大谷翔平の威力

「石を投げれば弁護士に当たる」
「近所で火事が起きたら、消防士よりまず弁護士に連絡」

どちらもアメリカらしさを表す言葉だ。

日本の地方裁判所での第一審受理件数は年間15万件ほどだが、アメリカは1,800万件超。いつどこで誰から訴えられるかわからないので、とにかく責任を認めない国民性が育まれている。

アメリカの弁護士は、交通事故を起こしても絶対に謝るなと指導する。

日本人なら、「すみません!」から話がはじまるところだが、アメリカでそれを言うと、その後の裁判で不利な証拠として採用されてしまうのだ。

野球のメジャーリーグでも、投手がデッドボールを当てた時、打者に対して謝ることはない。日本人は帽子に手をやるなどの仕草で気持ちを示すが、アメリカでそれをやると、「きわどい投球が当たってしまった」ではなく、「わざと当てた。加害行為でした」という意味になり、バッシングされることがあるのだ。

思わずぺこりとしてしまう日本人投手は、これまで何人もバッシングを浴びてきた。だが、大谷翔平だけは例外で、デッドボールを謝って、相手チームを「日本の文化はなんて礼儀正しく、素晴らしいんだ!」と感激させてしまった。アメリカ人に日本の文化をわからせてしまう大谷の威力はすごい。

ちょっとは「すみません」と言えるようする法律は効果を発したか

アメリカの「やらかしても謝るな」は、訴訟大国であるがゆえの文化だが、そのために、トラブルが起きた際に双方の関係がギスギスして、よけいに訴訟が増えてしまうという悪循環も起きている。

特に、医療過誤訴訟の件数があまりに多く、これを回避するための法律まで生まれた。医師が、患者や遺族に対して気の毒に思って「I’m sorry」と発言しても、それが法的な責任を認める証拠としては採用されないという特別法・通称「アイムソーリー法」だ。

2000年ごろから38の州で制定されたこの法律によって、医師が安心して被害者に共感し、無念の思いを表明できるようになり、患者や遺族も、不信感や怒りが和らぐので訴訟に至る可能性が減る……とされているが、実際のところ、そこまで効果を発揮しているものでもないらしい。

そもそも、医療訴訟が多いのは、アメリカに公的医療保険制度がなく、救急車に20万円、盲腸の手術に600万円と医療費が異常に高いからだ。

さらに、日本人の「訴訟」は、話し合いや再三の注意で解決できない場合の最終手段という感覚だが、アメリカ人はまず訴訟からはじめる。「では話し合いましょうか、法廷で」という感覚なのである。

そう考えてみると、自分がまき散らした女性皇族侮辱発言をネット上で揶揄されて、とたんに「訴えるぞ」と言い出す男系カルトの著名人などは、「日本の伝統」を叫びながら、本人は非常に見事にアメリカナイズされていると言うこともできるだろう。

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