自民党総裁選で小泉進次郎氏に勝つ方法は存在する
21年総裁選は、国民的人気の高かった河野氏の勝利を阻止すべく、高市早苗氏を担ぎ出した安倍晋三元首相の計略が際立っていた。高市氏に一定の票を集めて安倍氏の影響力を見せつけ、河野氏の過半数獲得を阻止する。そうなれば、岸田・高市の連合で決選投票を制することができるという計算だ。
それは、安倍氏が自ら体得した総裁選のセオリーの実践だった。安倍氏が返り咲きを狙って石破茂氏ら4人と戦った2012年の総裁選。5人による混戦となって票が分散したため、決選投票にもつれこんだ。
このとき、第1回投票での1位は石破氏で、議員票34、党員票165。安倍氏は議員票54、党員票87で2位だった。ところが、議員のみによる決選投票では、安倍氏108票、石破氏89票と逆転し、安倍総裁が誕生した。
人気があり党員票を多く集めそうな候補者に対抗するには、立候補者数を多くして票を分散し、決選投票に持ち込むこと。そうすれば、ほぼ議員票だけの勝負となり、派閥の締めつけを効かせることによって、結果をコントロールできる。
その経験則を安倍氏は前回総裁選に生かした。事務所にこもり、高市氏への支援を求めて細田派(当時)の若手ら党所属議員に安倍氏自ら電話をかけまくった。その結果、高市氏は114票の議員票を集めることができ、上位2人の総得票は岸田氏256票、河野氏255票と拮抗、いずれも過半数に届かなかった。
決選投票では、高市氏の票がどっさり岸田氏にまわり、得票数は岸田氏257票、河野氏170票と大差がついた。こうして安倍氏は高市氏を応援しながら、結果的に、岸田政権を手の内に入れることに成功した。その過程で、安倍氏、麻生氏と緊密に連絡をとり、両氏の派閥から岸田氏に票を集める役割を果たしたキーパーソンが甘利氏だった。









