派閥こそパワー。麻生太郎氏が描く一か八かの大逆転シナリオ
麻生氏にとって、今回の総裁選の情勢はきわめて厳しい。強い候補者を手駒に持っていないからだ。河野氏に前回のような国民的人気はない。一方、進次郎氏を擁する菅義偉氏が、キングメーカー対決上、有利なことは明らかだ。
追い込まれた麻生氏は一か八かの勝負に出るしかない。多人数の立候補を誘導して、決選投票に持ち込む。それができれば活路が開ける。もちろん、1回目投票の1位、2位が小泉、石破になったら、どうしようもない。進次郎氏は菅氏の掌中にあるし、2009年に“麻生降ろし”の急先鋒を担った石破氏に対しては憎悪の感情しかない。その場合、麻生氏はキングメーカーの座を降り、あっさり引退の道を選んで、長男を後継者にする可能性が高くなるだろう。
決選投票に持ち込めるとして、麻生氏が想定しているのは、小泉氏が決選に残り、あとの一人が石破氏以外であるケースだ。
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それが、支援を約束した河野氏なり、ポスト岸田の候補として麻生氏が目をかけてきた茂木敏充氏、あるいは甘利氏が推奨する小林氏(二階派)なら好都合かもしれない。いや、高市早苗氏(無派閥)、上川陽子氏(岸田派)、林芳正氏(同)であってもかまわないのだろう。
そこではじめて派閥のメンバーに「一致結束」を求め、菅義偉前首相の息のかかっていない候補者に票を集める。その候補者が総裁に選出されれば、キングメーカーとして、新政権に対しても影響力を保持しうるのだ。
むろん、そううまくコトが運ぶとは限らない。とりわけ小林氏については、安倍派の福田達夫氏ら4期生以下の議員が中心に支援していて、長老支配の象徴ともいえる麻生氏の介入を許さない雰囲気があるようだ。それでも、決選投票における票読みしだいでは、麻生氏に頼らざるを得なくなる。









