汚職逮捕から現在のダイバーシティ化まで。歴代仙台市長に見る「杜の都」の動き

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東日本大震災で大きな被害を受けた宮城・仙台市、そんな仙台の郡和子・仙台市長が2期目任期が残り1年となったそうです。そこで、今回のメルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』では、仙台が故郷である引地達也さんが、この都市の市長を通じて見てきた、汚職から始まり現在のダイバーシティ化までの歴史を語っています。

負の歴史から震災乗り越えたオープンな仙台市の行政

学生のゼミ合宿に向け仙台市に滞在し、河北新報の朝刊を開くと、郡和子・仙台市長が2期目任期が残り1年という。

社説では「東北の発展へ 県と協調を」と題し、これまでの7年を総括し、残り1年に注文を付けた。

記事は概ね「与党系が仕切る市議会運営に骨を折り、我慢を強いられる場面もいまだ少なくないが、政治的にも政策的にも、一定の地歩を固めていると言えるだろう」と評価している。

一方でダイバーシティ(多様性)を重視した市政運営に向け推進指針を策定する予定で、今年6月に有識者会議の初会合を開いたが、そこに「外部の意見に偏ることなく、市民の目線も大切にしたバランスある相違と判断で議論を深めてほしい」と指摘した。

最終的には仙台市と宮城県が熟議することを促し「より良い結論に導く『止揚効果』こそ、双方の住民が望むことだろう」と結んでいる。

ダイバーシティの街づくりがどのように描かれるかが気になるから、不正と震災を乗りこえた都市が推進する、このプロセスも注目したい。

18歳まで過ごした仙台は私の故郷であり、仙台市長は私にとって地方行政を見る、1つの窓になっている。

出発点は汚職事件。大学進学を機に仙台を離れていた時、政界ではリクルート事件をはじめとする汚職が次々と発覚し、政治の浄化が必要との雰囲気の只中にあった。

1993年6月、仙台市の石井享市長が鹿島建設、間組など大手ゼネコンから1億円を収賄した容疑で逮捕された。

この汚職で対象になったと指摘されたのは、仙台市が政令指定都市になったことで、「都会」「近代」の象徴となるハードな施設の数々で、それまでそれらの建築物に少し誇らしげな気持ちだったことを私は恥じた。

時は大学4年生で毎日新聞社から内定をもらい、社会正義に立ち上がれるという清らかな気持ちも、仙台を見る目を厳しくさせた。

石井市長は逮捕後の7月に辞職し、出直し選挙が行われ、その選挙の応援に声がかかった。

選挙には仙台市の教育長、藤井黎(はじむ)さんが立候補し、その選挙事務所で大学4年の夏休みを過ごすことになった。

藤井候補を乗せて選挙カーを運転し、仙台市内をくまなくまわった。

藤井市長は教育者らしく安定した市政采井で3期務めた後に引退した。

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