その後、2005年から市長を務めた梅原克彦氏は1期目でタクシーチケットを他者が流用していた問題が発覚するなどで、2期目の出馬を断念した。
この問題は河北新報の追究キャンペーンが結果的に致命的になったから、地元メディアが退陣に追い込んだ事例として刻まれている。
歴史を振り返れば、革新市政の島野武氏、その急逝を受けて保守系で当選した石井享氏、汚職事件後の藤井氏、引退後の梅原氏、その後の奥山恵美子氏は政令指定都市で全国初の女性市長となり、東日本大震災の対応と復興を手掛け、2015年には国連防災世界会議を誘致、開催した。
そして今の郡和子氏と続く。
冒頭の社説は地方紙のきめ細かい取材、権力や行政のチェックを使命とする役割に忠実な内容ではあるが、「外部の意見に偏る」とはどんな基準で見ればよいのだろう。
市民の声と外部の声の違いはどこなのかが気になる。
政治も行政もオープンであることが不正を防ぎ、公正を保つ基本とされている。
東日本大震災によって、被災者の声を聞く姿勢が、行政を鍛えたことは確実である。
被災地における犠牲者の多寡は、それまでの行政の備えも反映しており、様々な教訓の中に行政の姿勢も盛り込まれている。
仙台市は国連防災世界会議の開催で、防災に関する国際都市になった。
汚職や不正の負の歴史から、防災都市へ、そしてダイバーシティ都市へ─。
この発展に向けて、記事の「止揚効果」は県と市だけではなく、メディアもそこに加わることで効果が増すのではないかと思う。
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