Apple Watchは「睡眠時無呼吸症候群」、AirPods Pro 2は「聴覚」。アップルが日本人の寿命を伸ばす?

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新iPhoneが公開されたアップルの発表で、意外と注目されたのが「健康関連機能」に関するものでした。その詳細を伝えるのは、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さん。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では、アップル製品を使うことのメリットに新たに追加された「理由」を紹介しています。

Apple Watchが無呼吸症候群、AirPods Pro 2が聴覚の健康をサポート

今回のアップルによる発表で、意外と注目を浴びたのが健康関連機能だ。Apple Watchでは睡眠時無呼吸症候群の可能性を検知できるようになった。

1日4時間以上、月に10日間、Apple Watchを装着して睡眠すると、無呼吸症候群の可能性があれば通知され、医療機関に行くことを勧められるという。

スマートバンドと比べると睡眠中もApple Watchを装着し続けることに抵抗を感じそう(睡眠中、無意識に外してしまいそう)だが、一度はやってみたいと思う。

もうひとつ、AirPods Pro 2では騒音レベルに晒される状態を最小限に減らせるという。また会話を強調してくれることで、目の前に居る相手の声を聞こえやすくするという。

「補聴器」と言い切ってしまうのは微妙なところだが、アップルのプレスリリースでは「処方箋不要のヒアリング補助機能」と記載しているだけに、補聴器にかなり近い使い方ができそうだ。

この2つの発表で特に驚いたのが、睡眠時無呼吸の通知は「米国食品医薬品局(FDA)およびその他の世界的な保健機関から近日中に製造販売承認を受ける見込みで、米国、EU、日本を含む150を超える国や地域で今月中に利用可能」、ヒアリング補助機能は「世界的な保健機関からこの秋に製造販売承認を受ける見込みで、米国、ドイツ、日本を含む100を超える国や地域でこの秋に利用可能になる予定」だということだ。

これまで、アップルの健康に関する機能はアメリカですぐに使える一方で日本では数年、待たされるなんてことがざらにあった。しかし、今回は世界で同時的にサービスが開始され、ちゃんと日本も遅れることなく含まれているという点だろう。

おそらく、これまでアップルが日本の省庁や医療関係者とのパイプを作る一方、きちんと医療の現場でアップル製品が評価されてきたというのが大きそうだ。

実際のところ、お医者さんのなかにはアップルが大好きという人も多く、そうした方々が尽力し、省庁を口説き落としてくれたりすることで、すぐに日本に導入される環境が構築されているように思える(今年のWWDCでは、クパチーノで参加していた日本の医療関係者もいたほどだ)。

アップルが突破口を開き、日本の省庁や医療機関を開拓し、健康に関する機能をすぐに導入しやすい道を整備してくれると、結果として、他のAndroidメーカーも日本市場に製品を投入しやすくなる。

おそらく、中国のファーウェイが独自で省庁の門を叩いても門前払いだったろうが、アップルが省庁を口説き落とし、承認を得てしまえば、省庁としてもその次からは他メーカーを排除するわけにはいかなくなる。

アップルの功績は結果として、健康機能で日本に参入したい他メーカーにとっても追い風になることは間違いなさそうだ。

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image by: Shahid Jamil / shutterstock.com

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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